最優秀論文賞贈呈

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Vol.103 No.7 (2020/7) 目次へ

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2019年度 第2回 最優秀論文賞贈呈(写真:敬称略)

 本会選奨規程第17条による最優秀論文賞(第2回)は,下記の論文を選定して贈呈した.

Field Trial on 5G Low Latency Radio Communication System Towards Application to Truck Platooning

(英文論文誌B 2019年8月号掲載)

受賞者 三上 学 受賞者 吉野 仁

 第5世代移動通信システム(5G)では従来のモバイルブロードバンド通信能力の拡張であるeMBBに加えて,超高信頼・低遅延通信URLLCや多数同時接続通信mMTCを新たな適用領域としている.5Gでは,移動通信業界以外の事業者(Vertical Industries)が移動通信事業者と連携し移動通信技術の新たな利活用分野を開拓することが期待されている.5Gの低遅延性が要求される新たな移動通信技術利活用が最も期待される分野の一つとしてITS(Intelligent Transport Systems)分野がある.そこで本論文では,複数トラック車両が車両間通信を用いた電子連結により後続車両が自動運転で先頭車両を追従するトラック隊列走行を5Gの新たな適用先として着目した実証実験を行い,実験の意義,評価方法,評価結果についてまとめている.

 実験では,基地局を介したV2N(Vehicular-to-Network)通信によりトラック隊列車両の制御や監視を実現することを想定し,車両制御信号を4.5GHz帯のURLLC,車両監視画像を4.5/28GHz帯のeMBBでそれぞれ伝送する装置構成と試験用車両として大型トラック実車を用い実施している.郊外の高速道路環境を模擬した自動車テストコース上に設置した路側基地局とトラック側移動局との間の電波伝搬特性,通信遅延,スループットに着目した評価を行い,5Gの実力を示すとともにトラック隊列走行の実用化に際する検討課題を明らかにしている.

 本論文で取り上げている5Gによるトラック隊列走行は,CO2排出量削減,渋滞解消,ドライバ不足の解消やドライバの労働環境改善,交通安全性向上,物流コスト削減等々,数多の社会課題解決に貢献し得る.5G応用に関して新たな産業応用が強く期待されている中,具体的にトラック隊列走行というアプリケーションに踏み込んだ実証実験は,先駆的な取組みである.また,実験結果の詳細な説明により本アプリケーションを実用化する上で考慮すべき置局設計や装置構成等に関する重要な示唆を与えており,今後の関連研究開発の発展に大きく貢献し得ることから,本賞に値する論文として高く評価できる.

区切


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