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解説
磁気ホログラムと新しい光磁気応用[Ⅱ・完]
――体積磁気ホログラム情報記録――
Magnetic Holography[Ⅱ・Finish]: Volumetric Data Storage
A bstract
光の位相干渉じま(ホログラム)を磁性体中の磁化分布として記録した磁気ホログラムは,磁性体固有の磁気光学効果によって空間中に立体像の表示や,情報の体積記録を行うことができる.これは磁気ホログラフィーと呼ばれ,偏光顕微鏡を用いることで磁気ホログラムそのものも観察できる.本連載では磁気ホログラムを用いた立体表示について人工磁気格子の応用とともに述べたので,本稿では体積磁気ホログラム情報記録への応用について紹介する.
キーワード:磁気光学効果,磁気ホログラフィー,体積情報記録,三次元ディスプレイ,磁性ガーネット,人工磁気格子
本連載(1)第1回に引き続き,磁気ホログラムを用いた新しい光磁気応用として,QRコードのホログラムを磁性体中に体積的に書込み再生する体積磁気ホログラム情報記録について,基盤材料として利用している人工磁気格子とともに紹介する.
前稿で紹介した磁気ホログラム(1)は,体積ホログラム情報記録(VHM: Volumetric Hologram Memory)でも利用できる.VHMは,1bitごとに情報を記録するbit-by-bit記録と異なり,空間光変調器SLM(Spatial Light Modulator)に表示する二次元ページデータ(QRコード)をホログラムとして一括記録再生する(図1).
SLMが1,024×768ピクセルを持つ場合,原理的には1回の記録で1,024×768=786,432bitのデータが保存され,1回の再生で同じデータ数が再現される.更にホログラムとして記録されるQRコードは位相情報なので,空間的に記録データの一部が欠損した位相情報でも元の実情報へ再生できる.すなわち,ホログラムを少しだけずらして多重書込みでき(これをMultiplexingという),記録密度を更に増大できる.
このため,ホログラム情報記録は本質的に高密度・高転送レートに向く記録方式と言える.実際,表1(2)~(4)に示すように,1ディスク当り2TByteに達する容量と10Gbit/sに達するデータ転送レートが報告されている.
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