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宇宙通信新時代の幕開け
小特集 4.
宇宙通信新時代を支える
――1bit/sから100Gbit/sの衛星通信を支える技術――
The Satellite Communication Technologies with Scalable Bandwidth up to 100Gbit/s to Realize New Era of Space Networking
abstract
衛星搭載通信系においては大きく,「コマンド受信・テレメトリー送信の役割を担うトランスポンダを中心としたTT & C系」と,「観測データを地上に伝送する変調器を中心としたミッションデータ伝送系及び,放送電波や各種通信信号を中継処理する通信衛星中継ペイロード系」に分けられる.TT & C系においては小形高性能であることとともに,高い信頼性も求められる.ミッションデータ伝送系や中継ペイロード系においては,高速化及び通信要求への柔軟な対応を目指し,ディジタル技術の導入によるスマート化が求められている.また昨今,電波監視のニーズの高まりを受けた対応も求められる状況にある.これらを支える技術について紹介を行う.
キーワード:TT & C通信,深宇宙通信,光通信,ディジタル化,非線形ひずみ補償,電波監視,抗たん性
衛星に対するコマンドの受信,及び衛星のテレメトリーデータを地上に送信する役割を担うトランスポンダを中心としたTTC-RF系は,宇宙空間に位置する衛星と地上との間をつなぐ衛星にとっての生命線である.地球近傍衛星においては,コマンド・テレメトリー回線の高速化や,地球局が可視の期間以外にも通信回線の確保を目的としたデータ中継衛星を経由した通信機能,耐干渉性,更には運用の容易性といったことも求められる.深宇宙通信においては,小惑星「リュウグウ」にタッチダウンを成功させ,2020年12月に地球に帰還予定の「はやぶさ2」(1),現在水星に向け6年の旅を続けている「みお(MMO)」(2)等,ミッション達成に向け,それぞれ地球局から3億km,2億km離れた過酷な環境下から,地球上の局との間で数bit/sのデータレートの通信を行い,ミッション遂行を支えている.
一方,主に地球の静止軌道上にある通信衛星を構成する中継器系においては,大容量化が進み,100Gbit/s程度のスループットが実現されている(3).また昨今の観測衛星においては,光学衛星,電波レーダ衛星共に解像度向上に伴うデータ伝送量が膨大となり,Gbit/sオーダでの伝送が求められ,宇宙空間におけるデータ中継用途として光通信の利用が開始されている(4).また,単に大容量化・高速化にとどまらず,ディジタル化,ソフトウェア処理化,大規模高速処理化により,高度なサービスの提供や通信需要の変化に軌道上で柔軟に対応できるフレキシブル中継器の開発が期待されている.更に衛星の役割の重要性の高まりにより,近年,抗たん性確保が重要となり,電波監視のニーズも高まっている.
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