電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
© Copyright IEICE. All rights reserved.
|
防災・減災に向けた災害監視・予測技術
小特集 2.
フェイズドアレー気象レーダを用いた超高速降水予報
Super-rapid Precipitation Forecast Using Phased Array Weather Radar
abstract
気候変動も関係し,ゲリラ豪雨などの激しい気象が増え,脅威となっている.フェイズドアレー気象レーダは,僅か10分の間に急激に変化する積乱雲を詳細に捉える新型センサである.スーパコンピュータ「京」の計算パワーを生かし,フェイズドアレー気象レーダの観測ビッグデータを使った桁違いのゲリラ豪雨予測の先端研究が切り開かれた.本稿では,様々な降水現象と災害リスクについて紹介し,フェイズドアレー気象レーダの特徴と,それを生かした超高速降水予報技術について述べる.
キーワード:数値天気予報,データ同化,ナウキャスト,高性能計算,ビッグデータ
近年,気候変動の影響も関係して,異常気象の頻度や激しさが増している.台風や集中豪雨による災害が毎年のように頻発し,効果的な対策が求められる.気象の主な変数は,風,気温,気圧,水物質である.このどれもが人間活動に影響する(表1).本稿では,降水現象(水物質)に的を絞って議論する.
降水現象にも様々ある.雨,雪,あられ,ひょうなど降水粒子の種類も多い.また,対流性降水,層状性降水で性質が異なる(表2).その上,対流性降水には様々なスケールの現象がある.対流性降水は,一般に数kmの大きさを持つ積乱雲から構成される.これが単独である場合もあるし,数十km規模の集団などに組織化したり,数百km規模に大きく組織化した台風もある.
単独の積乱雲は,1時間もしないうちにその一生を終える.これが組織化すると,10時間程度持続することがある.台風の場合は10日程度にも及ぶ.同じ対流性降水でも,このように様々異なる現象がある.結果として,対応する災害リスクも違ってくる(表3).
続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。
電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。
電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード