特別小特集 3. 流通・物流における情報システムのこれから

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特別小特集 3. 流通・物流における情報システムのこれから Consideration of Item-level Management and Visibility System in Supply Chain 浅野耕児

浅野耕児 一般財団法人流通システム開発センターソリューション第2部

Koji ASANO, Nonmember (Solution Services Department Ⅱ, GS1 Japan, Tokyo, 107-0062 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.104 No.1 pp.13-16 2021年1月

©電子情報通信学会2021

1.は じ め に

 流通には,商流・物流・金流の三つの流れがあると言われている.商流とは受発注などの取引の流れである.物流は商品や製品(もの)の流れであり,商流で確定した取引に基づいて必要な‘もの’を必要な場所へと移動させる流れである.金流は取引の対価を得たり払ったりする流れである.

 流通の効率化とはこれらの流れをスムーズにすることと捉えることができる.その一つの手段が情報システム(コンピュータシステム)の活用であり,既に様々な場面で利用されている.

 現在,流通・物流で利用されている情報システムでは,例えば,入出荷の数をプラスマイナスして現時点での在庫総数を把握するようないわゆる「総数管理」である.

 ところで最近では,IoT(Internet of Things)という‘もの’を中心とした考え方が現実的になってきている.IoTの考え方は電子タグの開発を通して提唱されたようだが(1),その電子タグもアパレル業界をはじめ実際に利用が広まっており(2),‘もの’と情報システムの連携も現実味を帯びてきている.

 このようなIoT的なシステムにおいては,‘もの’一つ一つが対象となる「個品管理」の仕組みが必要となる.今後,電子タグやセンサなどを活用して個品一つ一つを識別できるようになるとすれば,個品管理によって何が実現できるのか,また既存の総数管理の仕組みとどのように連携するか,といった検討もしておくべきだろう.個品管理によって,‘もの’の動きを中心とした物流の情報システムが活用できそうである.

 そこで本稿では,電子タグの利用が広まり,個品ごとにユニークな識別コードを持つことが一般的になることを想定して,今後の流通・物流分野の情報システムがどのようなものになるかを考える.

 また実は,流通関連の標準化組織であるGS1(3)では既に,‘もの’の動きを捉えるためにEPCISという仕様を標準化している(4).これについても紹介する.

2.総数管理と個品管理

2.1 流通情報システムの現状/総数管理とその課題


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