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高知県が優位性を持つ施設園芸分野において,現在のオランダの最先端技術を取り入れた「次世代施設園芸システム」から,最新の施設園芸関連機器やIoT・AI技術を利用した営農支援を可能にする「Next次世代」の施設園芸を普及させて,高知の施設園芸ブランドをより強固にすることで農家所得向上につなげる,内閣府の支援を受けた県を挙げてのプロジェクトについて紹介する.
本プロジェクトは,高知県Next次世代施設園芸農業に関する産学官連携協議会が母体となり,評価や検証を行いながら,研究課題「生産システム・省力化」,「高付加価値化」,「流通システム・統合管理」に取り組んでいる.IoPとは,Internet of Plantsの略,植物のインターネットのことであり,施設園芸の生産現場で天候の環境情報に加えて植物の生育情報(光合成,作物の成長)や収量,収穫時期や農作業などの情報を計測し,植物の情報の「見える化」を図っている(1).
「地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律」に基づく地方大学・地域産業創生交付金が平成30年度に創設され,高知県が申請した『“IoP(Internet of Plants)”が導く「Next次世代型施設園芸農業」への進化』が同年採択の7事業の一つとして採択された.高知県の基幹産業である施設園芸農業の飛躍的な発展とともに,「キラリと光る地方大学づくり」を目指し,高知大学,高知工科大学,高知県立大学,高知県農業協同組合中央会,高知県園芸農業協同組合連合会,高知県工業会,(株)四国銀行,(株)高知銀行,高知県IoT推進ラボ研究会等が参画している.高知県では,これまでオランダの最先端技術を取り入れた「次世代施設園芸システム」の普及を進めてきたが,本事業を通じて最新の施設園芸関連機器,IoT・AI技術を利用した営農支援を可能にする「Next次世代施設園芸農業」へと飛躍的に発展させることを目指している.IoPとは九州大学教授(当時)の北野雅治が提唱した概念であり,作物の生理生態情報を可視化し,施設園芸ハウス内の環境情報とともにインターネットにつなぐ「植物のインターネット」のことである.Next次世代施設園芸農業IoPの概要を図1に示している.3.において詳述するが,IoPクラウドにリアルタイムで集約される環境データ,作物生育データ,出荷データに生産者がアクセスできるようにし,高知県や農業協同組合が支援・指導する体制を整えることにより,高知県全体の農業をデータ活用型の農業へとアップデートすることを目指している.Next次世代施設園芸農業IoPのモットーは,『「楽しく,楽に,儲かる」農業』である.
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