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小特集
5Gから6Gへの無線通信技術の進化と展望
――みんなでつくる6G――
編集チームリーダー 岡本英二
本号特別小特集「ニューノーマル時代に求められる,ディジタルトランスフォーメーション(DX)」で御覧頂いたように,コロナウイルス感染拡大や環境変化に対応し生活様式が変わりつつある.普及が進む第5世代移動通信システム(5G)もそのような要求に応える進化が継続的に検討されている.移動通信システムはおおむね10年周期で進化を繰り返していることから,現在は5Gの次の世代である6Gの実現に向けた研究開発が世界中で加速している.この6Gが上記のDXやサイバーフィジカルシステム(CPS: Cyber Physical System)を提供するシステムとなり,私たちの暮らしを大きく変えるはずである.これまでの○Gは無線システムの名称であったが,6Gはむしろ次世代社会基盤を指す名称になっており,その基盤を支えているものが次世代無線通信システムという位置付けになる.これは無線通信の生活への更なる浸透を意味し,ますますの重要性を示している証左といえる.
ではこの6Gはどのようなものになるのか,無線の性能はどう変わるのだろうか.この問いに対して6Gに関する大学・オペレータ・ベンダ・行政機関のトップランナーから現時点でのアンサーを頂いたものが本小特集であり,限られたページ数において丁寧な解説を頂いた.まず1章では大槻知明氏に5G高度化と6Gの方向性の概説と技術トピックの紹介を頂いた.2章では岸山祥久氏,永田聡氏,須山聡氏に5G Evolution・6Gの要求条件と国際標準化並びに研究開発動向を紹介頂き,3章で小西聡氏に6G社会システムを支える無線ネットワーク(NW)アーキテクチャを概説頂いた.そして4章で大神正史氏から6G無線アクセスNWのオープン化及び仮想化の動向と技術概要を紹介頂き,5章では伊達木隆氏にCPSに必要な6G無線の要求条件,高周波帯活用,NWトポロジー高度化の解説を頂いた.6章においては藤岡雅宣氏から6Gの技術目標及びそれを達成するための人工知能(AI)の活用について紹介頂き,7章では小野沢庸氏に6Gの新ユースケース例とその実現のためのキーテクノロジーを紹介頂いた.6G実現のための要点はある程度共通するため重なる部分があるかもしれないが,それぞれの著者及び所属組織の注目点に重心が置かれていることを意識して御覧頂けると幸いである.これらは同一ではなく,6G実現への課題が複数あり統合的なアプローチが必要であることを示唆している.
更に著者の方々には記事だけでなくオンライン座談会にも参加頂き,6Gをどのように構築すべきかに関して熱い議論を頂いた.須山聡氏にコーディネータを,また五十嵐大和氏にも加わって頂いた座談会の様子を8章で紹介する.その結論としては,「6Gはゲームチェンジを起こす新ユースケースを読者の皆様を含めた『みんなでつくる』ものである」ということであった.そこで是非皆様の6Gを構築頂き,速やかに本会大会等で御発表頂きたい.それは我が国の6G興隆の源流となる貴重な素地となる.昼寝が好きな筆者も布団をCPSに落とし込み,サイバーフィジカル布団にモビリティを持たせて「いつでも高効率瞬間マイ休息」を6Gで実現するという野望を抱いている.
最後に,多忙な中執筆と座談会議論に御尽力頂いた著者の皆様に厚く御礼申し上げます.また多数の御支援を頂いた小特集編集チーム,事務局の皆様に深謝致します.更に本企画実現に際して初期段階から多大なる御協力を頂いた無線通信システム研究専門委員会役員・関係各位に深く感謝致します.
小特集編集チーム
岡本 英二 宮村 崇 安達 宏一 阿部 順一 大島 正資 大辻 太一 加藤 義行 田中 和樹 藤尾 俊輔 山田 渉
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