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5Gから6Gへの無線通信技術の進化と展望――みんなでつくる6G――
小特集 3.
6G時代の社会を支える新たな無線ネットワークアーキテクチャ
New Wireless Network Architecture for Facilitating Society in 6G Era
本稿を執筆中の2021年4月においてもいまだに新型コロナウイルスの感染が世界中で拡大している.加えて,近年,温室効果ガスの削減も喫緊の課題になっている.これまでと同様,6Gが商用化される2030年頃でも「ユーザの利便性や娯楽性の更なる向上」を目指すことに対して疑う余地はないが,我々が安心して生活し,経済を活発化させ,更に,温暖化防止のような世界規模の課題に対峙できる新たな社会基盤の構築が6Gの時代に求められるだろう.このような生活・経済・社会という三つの異なる目的や課題に対して,Society 5.0で描かれている「サイバー空間とフィジカル空間の更なる融合」は共通の解になるだろう(1).この両空間の融合を実現するためには,無線通信技術のみならず,様々な技術の進化と,技術間の協調動作が必要だと筆者らは考えている(2).
このような想定や考えの下,筆者らは6Gが実現する2030年頃のライフスタイルとユースケースを想定し,そのユースケースを実現するために必要な技術を洗い出し,6Gに関するホワイトペーパーとしてまとめた(3).ユースケースから見えてきたネットワークインフラへの要件の一つは,「ドローンやロボットのような自律動作するデバイスにも通信環境を提供する必要がある」ということである.人間であれば通信環境に応じた判断や行動ができるが,デバイスは通信要件を満たさないと我々が期待する役割を担えなくなる可能性がある.期待動作が得られないと,ユーザの利便性を損なうばかりか,ユーザの安全・安心にも支障をきたしかねない.
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