小特集 2. 動的周波数共用に向けた国内政策

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Vol.104 No.12 (2021/12) 目次へ

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本格的な周波数共用時代の幕開け

小特集 2.

動的周波数共用に向けた国内政策

Policy for Dynamic Spectrum Sharing

柳迫泰宏

柳迫泰宏 総務省総合通信基盤局

Yasuhiro YANAGISAKO, Nonmember (Telecommunications Bureau, Ministry of Internal Affairs and Communications, Tokyo, 100-8926 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.104 No.12 pp.1218-1222 2021年12月

©電子情報通信学会2021

Abstract

 近年,ディジタル変革時代を迎え,社会経済や国民生活の様々な分野において,電波利用ニーズがますます増加している.こうした新たな電波利用ニーズに対する周波数の確保に当たっては,従来の既存システムの周波数移行や再編だけでなく,異なる無線システム間において地理的・時間的に柔軟な周波数の共用を図っていくことも,電波の更なる有効利用を促進する観点から重要となる.本稿では,周波数共用方策の概念や事例をはじめ,新たなダイナミック周波数共用や将来の次世代電波システムにおける周波数帯域の確保に向けた取組みについて解説する.

キーワード:ダイナミック周波数共用,テレビホワイトスペース,帯域確保の目標設定

1.は じ め に

 近年,ディジタル変革時代を迎え,社会経済や国民生活の様々な分野において,電波利用ニーズがますます増加している.他方,電波は有限希少な資源であり,電波の利用技術の高度化や通信の大容量化に伴い,周波数移行や再編を行い,これまで高い周波数帯域への利用を拡大してきた.移動通信分野における利用が爆発的に拡大し,2021年4月現在,免許された無線局数は約2億7,770万局に達し,この10年で約2倍となっている.

 こうした携帯電話や無線LANなどの電波利用が拡大する中,特にUHF帯やSHF帯の周波数がひっ迫している.今後は,従来より高い周波数帯域への移行や再編を行うことだけでなく,既存無線システムと周波数の共用を積極的に図ることにより,電波の更なる有効利用を促進していくことも重要となる.

 本稿では,電波の更なる有効利用を促進するため,無線システム間における周波数共用方策や将来における次世代電波システムの周波数帯域の確保に向けた政策について解説する.

2.周波数共用方策の概念

 一般的に無線局の運用においては,無線局間の干渉を軽減し,周波数共用を図るため,互いの無線局間の運用について地理的,時間的またはそれらの組合せにより,電波の利用を棲み分ける必要がある.主な周波数共用方策については,次のとおり整理できる(図1).

図1 周波数共用方策の概念


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