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本格的な周波数共用時代の幕開け
小特集 5.
電波環境の可視化
Visualization Techniques for Radio Environments
Abstract
ダイナミック周波数共用においては,既存システムの通信品質の高精度な推定が重要である.そこで,これを実現する要素技術である電波環境の可視化について述べる.本可視化は,経験則電波伝搬モデルや理論モデルの活用により実現可能である.一方,近年のクラウドコンピューティングや深層学習の発展により,本分野も急速に進歩している.ここでは,電波環境可視化の用途やその分類を述べた後,近年注目される観測値活用型の手法について概説する.最後に,AI・深層学習を活用した電波環境可視化技術の筆者らの取組みを紹介する.
キーワード:電波マップ,電波伝搬,データドリブン,可視化,AI
本小特集は周波数有効利用のためのダイナミックな周波数共用の最新動向と技術について紹介を行うものであるが,電波環境の可視化は周波数共用に限らず様々な用途がある.ここでは,電波環境可視化がどのようなもので,どのように活用がされているか,更に将来的にどのような活用がされようとしているのかを明らかにしてから,具体的な可視化技術を俯瞰してみたい.
電波環境の可視化で一般消費者に身近なものに,携帯電話会社のエリアマップがある.これは,携帯電話がつながるエリアを地図上に可視化したものであり,携帯電話各社によってホームページ上で公開されている.現在,ちょうど5Gの普及期にあたるため,4G LTEのエリアと5Gのエリア展開が分かるような色分けや,切換を可能としている会社が多い.エリアマップは,携帯電話会社のエリア展開の様子を知ることができることから,消費者による契約前の使用エリアでの接続状態の確認や,サービスエリアの大きさの判断に幅広く使われている.このような一般消費者向けの可視化は分かりやすさを重視するため,通常は接続できるかできないかの2値で表現されるマップが用いられる.
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