小特集 6. 日本における周波数共用の社会実装状況

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Vol.104 No.12 (2021/12) 目次へ

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本格的な周波数共用時代の幕開け

小特集 6.

日本における周波数共用の社会実装状況

Social Implementation of Spectrum Sharing in Japan

田久 修

田久 修 正員:シニア会員 信州大学工学部電子情報システム工学科

Osamu TAKYU, Senior Member (Faculty of Engineering, Shinshu University, Nagano-shi, 380-8553 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.104 No.12 pp.1239-1244 2021年12月

©電子情報通信学会2021

Abstract

 拡大するトラヒックの収容に必要な周波数資源の枯渇が深刻な問題となる中,その解決策として異なる目的のシステムによる周波数共用の導入が世界的に議論されている.日本では,2014年に地上デジタルテレビジョンの放送周波数帯域における,運用調整の自動化により周波数共用がスタートしている.そして,2021年度には2.3GHz帯において第5世代移動無線通信との周波数共用の社会導入が計画されている.本稿では,テレビホワイトスペース等運用調整システム,及び2.3GHz帯ダイナミック周波数共用管理システムについて解説する.

キーワード:テレビホワイトスペース,ダイナミック周波数共用

1.は じ め に

 2014年3月から「TVホワイトスペース等利用システム運用調整協議会」(1)が発足し,日本における最初の複数目的のシステムによる周波数共用の運用が開始されている.第5世代移動無線通信規格(5G)向けに2.3GHzの番組素材伝送用無線(FPU)との周波数共用の制度化においては,2021年度中の社会導入を予定している.移動無線通信のように社会基盤として多数の利用者を収容する大規模システムとの周波数共用は,世界的にも先導する新たな周波数共用事業として注目が集まる.

 本稿では,日本における周波数共用の社会実装の状況について解説する.最初に,運用中のテレビホワイトスペース等利用システム(2)について概説と運用実績等を紹介し,周波数共用の現時点での状況を解説する.次に,社会導入が計画されている2.3GHz帯ダイナミック周波数共用管理システムについて,制度制定へ向けた検討過程と具体的なシステム構成について紹介し,2.3GHz帯におけるダイナミック周波数共用の方法を解説する.

2.テレビホワイトスペース等運用調整システム

2.1 対象周波数帯域

 表1に,「TVホワイトスペース等利用システム運用調整協議会」が運用調整対象とする無線局及び使用する周波数帯域を示す.470~710MHzの周波数共用では地上デジタルテレビジョン放送,特定ラジオマイク,エリア放送の順に利用システム間の割当上の優先順位が設定され,下位システムは上位システムを保護する対応が求められる.

表1 運用調整対象無線局と使用する周波数帯域


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