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小特集 2.
農園芸分野における情報通信技術(ICT)の導入状況と今後の展望
Current and Prospective Utilization of Information and Communication Technology in Agriculture and Horticulture
Abstract
本稿では,農園芸分野における情報通信技術(ICT)の利用状況をまとめた.ここでは,特に,ICTによる環境データや生産管理データの取得方法に着目した.近年,作物の生育を適正化するために,環境データが取得され,また,活用されている.他方,我が国では,作物の生産現場において,労働者を生産現場で適切に配置・管理するための生産管理にも,ICTが活用されつつある.このように,農園芸分野におけるICTの活用は増加しているが,更なる生産性向上のためには高度なシステムや機器の開発が求められている.
キーワード:大規模化,環境制御,生産管理,データ
従来,農園芸分野における生産現場の多くは,比較的小規模であった.また,少人数の熟練者が有する経験や勘に頼って管理及び運営されてきた.近年,農園芸分野における生産現場の規模は増大する傾向にあり,また,高度化しつつある.そのような状況にあるにもかかわらず,熟練者だけではなく,非熟練者を含めた複数名の従業員を雇用し,生産現場の管理及び運営せざるを得なくなってきた.例えば,稲の栽培では,この非熟練者を含めた複数名の従業員で,100haを超える大規模な水田の作物生産を行う事例が全国各地で見られる.また,1haを超える大規模な施設(温室)を利用してトマトやパプリカを栽培する生産者も,稲の事例と同様に,複数名の従業員を雇用することにより作物生産を行っている.これらの大規模化しつつあり,また,複数名の従業員を雇用して生産を行う現場では,従来型の経験や勘に頼った管理及び運営では,生産性を高める上で限界が生じている.
近年,上述のような大規模化及び高度化しつつある農園芸分野において,生産性を高めるための手法として,生産現場へのICT(Information and Communication Technology)の導入が進められてきている.ICTの導入が進んだ結果,作物の栽培環境(例えば,日射や気温)に関わるデータや生産管理(例えば,作業進捗や作業速度)に関わるデータが収集されるようになってきた.それとともに,収集したデータに基づく生産現場の管理及び運営が実施され,生産性向上に寄与する事例が見られるようになってきた.本稿では,農園芸分野におけるICTを利用したデータ収集とそれに基づく管理及び運営に関する事例として,①環境に関わるデータ収集及び制御技術,及び②生産管理に関わるデータ収集及び管理技術を,それぞれ紹介する.最後に,今後の展望についても述べる.
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