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小特集 4.
月での米作りのための自動化・センシング技術
Possible Methods for Automatic Rice Cultivation and Sensing on the Moon
Abstract
宇宙開発が各国により近年急速に進められ,数名~100名規模の月面における人類の活動が2030年代に実現すると想定され,本邦においてもJAXAにより検討が進んでいる.月面での活動人員の生命を支える食料は現地調達すなわち月面での食料生産が合理的であるが,地球上と異なる環境,限定的な資源量と労働力といった条件下で安定的な食料生産を行う必要がある.本稿では月面での安定的な食料生産,特に米作りの際に必要と考えられる自動栽培,センシング技術につながる現状の技術及び課題を解説する.
キーワード:リモートセンシング,月面農場,稲作の自動化,生育判断
近年世界各国で宇宙開発が進められており,アメリカのSpace X社をはじめ,地球周辺での宇宙旅行も既に絵空事ではなくなりつつある.今後予想される人類の月面での本格的な活動を見据え,JAXAは2016~2018年にかけ,宇宙探査イノベーションハブ事業において「月面農場WG」を持ち,月面での農作物の自給自足,更には資源リサイクルも含めた検討を実施した(図1)(1).
月面で栽培する農作物の中には稲が含まれているのだが,通常は水田で栽培される稲をどうやると月面でうまく栽培し,収穫できるのかに関する基本的な考察を行うため,まず2.で現在の稲の栽培方法,次に3.で月面での栽培環境,そして4.でそれらを融合するための,現在の技術の適用可能性という順に述べていく.
米という漢字が「八十八」に分解できるのは米作りに多くの手が掛かることが込められているからだと言われているように,稲作には種まきから収穫までに多くの作業がある.農家数の減少や高齢化により作業の効率化・省力化が求められているが,植物工場のような工業的農業の分野で早くから自動化が導入されてきた一方で,一般農業での特に機械的な駆動を伴う自動化の導入は始まったばかりと言われている(2).本章では,文献(3)の内容を中心に国内の稲作に関する一般的な作業の概要を自動化の観点からまとめる.
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