小特集 4. ソーシャルシグナルを共有するソーシャルロボット

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コミュニケーションロボットの現状

小特集 4.

ソーシャルシグナルを共有するソーシャルロボット

Social Robotics for Sharing Social Signals

鈴木健嗣

鈴木健嗣 正員 筑波大学システム情報系

Kenji SUZUKI, Member (Faculty of Engineering, Information and Systems, University of Tsukuba, Tsukuba-shi, 305-8573 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.104 No.4 pp.305-310 2021年4月

©電子情報通信学会2021

Abstract

 人々の社会的インタラクションは,音声・視線・姿勢等のモダリティを通じて交信されるソーシャルシグナル(社会的信号)を統合し,情動・個性・ソーシャルスキルといった人の社会的な側面を含む処理過程である.社会的インタラクションにおけるソーシャルシグナルとは,本人の意図にかかわらず,他者に対して目に見える変化を生じさせる計測可能な行動の手掛りである.本稿では,生活支援ロボットという観点からソーシャルロボットを「人とソーシャルシグナルを交信する役割を有するロボット」として位置付け,発達支援やコミュニケーション支援への応用を通じて議論する.

キーワード:ソーシャルシグナル,社会的インタラクション,発達支援技術

1.ソーシャルシグナルの共有

 人々の社会的インタラクションは,音声・視線・姿勢等のモダリティを通じて交信されるソーシャルシグナル(用語)(社会的信号)を統合し,情動・個性・ソーシャルスキルといった人の社会的な側面を含む処理過程であり,発話的特性(内容・非言語特徴(韻律等)),身体的特性(ジェスチャ動作・姿勢・容姿),情動的特性(表情・視線方向・注視状態),空間的特性(対人距離・相対位置)といった四つの特性(1)から成る.ここで,言語発話や身体動作,表情表出に相当するソーシャルシグナルとは「本人の意図にかかわらず,社会的インタラクションにおいて他者に対して目に見える変化を生じさせる計測可能な行動の手掛り」であるといえる.

 人々は社会的インタラクションを通して他者との関係を築いており,心理的幸福は人々の関係の質と量に関連する(2).この大部分は,他者との交流において相手の意図を適切に認識し,自身の意図を伝達することが基盤であり,この他者理解が共感性の発達へつながる.このような行動の手掛かりが,社会的インタラクションにおけるソーシャルシグナルであり,ソーシャルシグナルの情報処理は,人の社会的な側面を理解するための過程であるといえる(3).筆者らはこれまで,他者理解や意図伝達が困難な人々を支援するため,人を内側から変え得る新しい人間拡張技術の実現を目的として一連の研究を行ってきた.このような複数人から成る社会的行動を顕在化し明示するソーシャルイメージング技術の研究開発(4)により得た知見に基づき,社会的インタラクションの手掛かりとなるソーシャルシグナルの重要性を見いだした.

 このような社会的インタラクションを行う役割を担うロボットとして,ソーシャルロボットやコミュニケーションロボットがある.ソーシャルロボットとは,人とロボットが社会的・感情的な関係性を有するものであり,人とソーシャルシグナルを共有するロボットであるといえる.このソーシャルロボットは,コミュニケーションロボットと同様に,人とロボットのみならず,人と人との間のコミュニケーションを支援する役割が期待されている.このような人と機械系との設計論において,系内に人を含み,人と物理・情報空間を共有するシステムを実現するためには,


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