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コミュニケーションロボットの現状
小特集 5.
情報提供ロボットの実証実験例と今後の課題
Examples of Field Trials of Information-providing Robots and the Challenges
Abstract
筆者は実環境で人々と対話しながら情報を提供するロボットの研究に従事している.本稿では,近年盛んになっている情報提供ロボットの実証実験について,筆者らの研究グループで行った「科学館で来館者の行動に応じて展示を説明するロボット」と「実環境で人に対話的な情報提供をする複数の対話ロボット」の二つの研究事例を紹介する.最後に,情報提供ロボットの実証実験に関する今後の課題について私見を述べる.
キーワード:情報提供ロボット,対話ロボット,実証実験,ヒューマンロボットインタラクション
日常的な場面で人々と関わるロボットの研究が盛んになっている.特に,実環境で一般の人々にロボットとの対話を体験してもらい,そこでロボットの動作や性能を評価する,実証実験が広く行われるようになってきた.筆者の専門である対話に基づくサービスを提供するロボットに限っても,科学博物館での展示説明(1)(図1),イベント会場での接客(2),(3)(図2),ショッピングモールでの道案内(4)やチラシ配り(5),駅での観光案内(6)や窓口案内(7),レストランでの商品案内(8),ホテルの接客(9)など,枚挙にいとまがない.
こうしたロボットは,インタラクティブな情報提供を行う存在として大きな可能性を秘めている.道端の看板に話し掛ける人はそうそういないが,ロボットに話し掛ける人は多い.看板に親近感を覚えて店に来る人は余りいないと思うが,なじみのロボットがいるという理由で店に足を運ぶ人はいるかもしれない.ロボットは主体性を持つエージェントとしての側面を持っており,人から社会的反応(ロボットへの挨拶やロボットの話し掛けに対する応答,ロボットへの手助けや逆にロボットをいじめる行為など,ロボットを社会的相互作用の対象とみなした上での行為)を引き出しやすい.こうした特性は,看板やディジタルサイネージのようなメディアには難しかった,人の社会性を活用して人の関心を喚起する情報提供を可能にする.
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