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解説
情報指向ネットワークの最新動向[Ⅱ]
――オープンソースCeforeがもたらす新しいネットワークサービスの可能性――
Recent Trend of Information-centric Networking[Ⅱ]:
Cefore; Software Platform Bringing Innovative Network Services
A bstract
情報はサーバからではなくネットワークから取得する.この“通信としてあるべき姿”をプロトコルレベルで実現するネットワークアーキテクチャが「情報指向ネットワーク技術(ICN)」である.本稿では日本発のICN実装であるCeforeの機能と特徴,特に軽量性と拡張性,及び独自の機能に関して紹介を行う.また,Ceforeを利用・拡張して実現できる新しいネットワークサービスに対して考察する.
キーワード:情報指向ネットワーク技術(ICN),コンテンツ指向ネットワーク技術(CCN),Cefore,オープンソース(OSS)
ニューノーマル時代の到来は,社会インフラであるインターネットの重要性を再認識させたのみならず,そこに存在する様々な課題をも浮き彫りにさせた.特にテレワークや遠隔授業などの需要や頻度の高まりとともに,通信の安定性や安全性,臨場感あふれる表現力など,これまでとは異なるレベルでの性能や品質が求められることとなった.今後,更に多様化かつ高度化するネットワーク要件を満たすためには,ネットワークサービスとして想定される姿と,それを実現する通信の仕組みそのものを見直し,より柔軟に進化させていく必要がある.
筆者らは近年「情報指向(若しくはコンテンツ指向)ネットワーク技術(ICN/CCN)(注1)」と呼ばれる通信技術の研究を行っており,ICNが上記の課題解決に結び付く技術になるのではないかと考えている.ICNでは,従来の通信デバイスの識別子(IPアドレス)ではなく,情報やコンテンツの識別子(ccnx:/example.com/video.m4sのような階層形プレフィックスから成るコンテンツ名)を用いて通信を行う.これにより,遠方にあるサーバやクラウドからだけでなく,当該コンテンツを持つ,ネットワーク上に存在するノードから情報取得することが可能となる.
ICNが前提とする“コンテンツ名を用いて情報取得を行う”という考えは,インターネット通信による“URLを指定して情報取得を行う”という行為に通ずる.この考え方自体は自然なものであるが,通信プロトコルとしてそれを実現するためには,サーバやクラウドに依存するロケーション指向の通信とは異なる新しい仕組みが必要となる.このため現在も世界中で様々なICN研究が進められているが,得られた研究成果を現実の社会で使えるものとするためには,机上の研究にとどまらず,それを実装し検証することが不可欠である.
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