特集 6Gがひらく2030年の超スマート社会 特集編集にあたって

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Vol.104 No.5 (2021/5) 目次へ

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特集 6Gがひらく2030年の超スマート社会特集

特集編集にあたって

編集チームリーダー 宮村 崇

 2020年3月から国内の主要通信事業者において第5世代移動通信システム「5G」の商用サービスが開始されている.5Gでは高速・大容量に加えて,多接続・低遅延の通信サービスが提供され幅広いシーンでの活用が期待されており,社会課題解決や新たな産業の創出に向けた利活用が進められている.2020年6月には総務省により「Beyond 5G推進戦略」が公表され,6G/Beyond 5Gに向けた産官学連携による研究開発がいよいよ本格化している.

 新型コロナウイルスの感染拡大により,外出制限など社会生活が一変した.リモートワークや遠隔授業などICTの利活用が急速に進んだ一方で,人と人とのリアルな接触が絶たれたことによる疎外感など新たな社会問題も生じている.社会課題解決に向けてこれまで以上にICTが果たすべき役割に期待が高まっている.6Gを契機としてICTがより一層社会全体のディジタル化・スマート化を進展させ,コロナ禍により顕在化した様々な社会課題を解決し,安心安全でより良い未来の実現を期待したい.

 本特集では,2030年の超スマート社会に向けた6Gの展望と技術動向について紹介する.ここで6Gを5Gの次の移動通信システムというだけではなく,2030年代の無線・有線含めた社会基盤・生活基盤としてのネットワークの理想像として定義したい.このような観点のもと本特集では6Gに向けた展開戦略,標準化動向,無線・有線を含む先端技術,アプリケーションなどについて分野横断的に解説する.

 まず第1章では,6Gの全体概要と展開戦略について紹介する.森川博之氏には,COVID-19による社会の変化と6Gへの期待などを俯瞰的に解説頂く.次に産官学連携によるBeyond 5G/6Gの展開戦略とそれを支える政府の取組について柳迫泰宏氏に紹介頂く.

 第2章では,6G及び2030年の超スマート社会実現に向けた標準化動向・研究開発動向及び応用事例について紹介する.まず岸山祥久氏らから,6Gの世界観と概念,1Gから6Gに至る無線技術の発展について解説頂く.次に標準化動向として,ITU-Tにおける2030年のネットワークに向けた議論状況を三宅優氏により解説頂く.伊達木隆氏らには6Gに向けた無線技術の展望と高周波数活用に向けた取組を紹介頂く.

 6Gにおいてはあらゆるものがディジタル化され,実世界とサイバー空間との融合が進むと予想され,大量データとそれを処理するAI技術への期待が高い.下西英之氏らには,ネットワーク基盤におけるAI技術の活用事例について紹介頂くとともに,赤田正雄氏には高密度センサが生成する大量データが実現する6G時代のユースケースと今後の10年の無線技術の進化について概観頂く.また,ICTの進化は人々のライフスタイルや働き方にも変革をもたらす.矢崎智基氏らにはサイバー空間と実世界の調和と融合により実現される豊かなライフスタイル像と社会基盤を支える先端技術について紹介頂くとともに,山本将史氏らには遠隔作業支援システムの研究開発動向について解説頂く.更に6GにおいてICTを活用できる領域,カバレージを拡張していくことも研究開発の重要な方向性の一つである.豊嶋守生氏らには,各国における宇宙通信技術の研究開発動向を紹介頂くとともに,宇宙通信技術による社会課題解決について概観頂く.6Gを支える有線技術については,関剛志氏ら,金子慎氏ら,齊藤晋聖氏にそれぞれ超大容量通信を実現する光伝送技術,システムアーキテクチャ,光ファイバ技術の進展について解説頂く.西村寿彦氏らには,光と融合する無線技術の研究動向について紹介頂く.5G/6Gを支えるネットワーク基盤に先端技術を適用して運用制御を高度化する取組が進展している.三好優氏らにはAI技術やディジタル技術の導入によるオペレーションの進化について解説頂くとともに,山岸和久氏らには6G時代における通信サービスの品質評価手法について紹介頂く.

 最後に多忙な中,執筆に御尽力頂いた執筆者の皆様に深謝致します.また,特集編集チームの皆様には記事構成や執筆候補者の提案・調整など多大なる御協力を頂きました.この場を借りて深く感謝致します.

特集編集チーム

 宮村  崇   藤尾 俊輔   岡本 英二   安達 宏一   阿部 順一   伊藤 史人   大石  巧   大鐘 武雄   大島 正資   大辻 太一   加藤 義行   後藤 広樹   白戸 裕史   新保 薫子   田中 和樹   水谷 后宏   山田  渉   Chakarothai JERDVISANOP 


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