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5Gの次の世代の移動通信システムであるBeyond 5G(いわゆる6G)は,2030年頃の実用化が見込まれている.総務省では,Beyond 5Gの早期実現や国際競争力の強化に向け,2020年6月に「Beyond 5G推進戦略―6Gへのロードマップ―」を公表した.本戦略に基づき,中核となる技術の研究開発や世界最高水準の拠点整備の推進(研究開発戦略),オープン化,セキュリティなど国際標準化の推進や知財の獲得(知財・標準化戦略),Beyond 5Gの展開の前提となる5Gの社会全体への速やかな展開(展開戦略)に迅速かつ戦略的に取り組み,2025年の大阪・関西万博において,世界の人々が我が国の最先端の技術を体感できる機会を提供する.今後は,2020年12月に設立された「Beyond 5G推進コンソーシアム」が母体となって,産学官の連携により本戦略を強力かつ積極的に推進していく.
キーワード:「Beyond 5G推進戦略―6Gへのロードマップ―」,研究開発戦略,知財・標準化戦略,展開戦略,「Beyond 5G推進コンソーシアム」
移動通信システムは,技術革新が早く,10年ごとに新しいシステムが生まれる中で,通信基盤から生活基盤へと進化し,第5世代移動通信システム(5G)は,生活基盤を超えた社会基盤へと進化すると見込まれる.その次の世代であるBeyond 5G,いわゆる6Gは,2030年頃の実用化が見込まれ,これを早期に実現することは,Society 5.0(注1)の更なる進展や持続的な経済成長,我が国の国際競争力の強化に不可欠である.5Gネットワークのサプライチェーンリスクの問題が顕在化する中で,既に米国・中国・韓国・フィンランドといった主要国では,政府も関与したBeyond 5Gの研究開発の取組が活発化しつつある.そのような中で,我が国がBeyond 5Gの国際標準策定のプロセスに深く関与するためにも,その導入時に見込まれるニーズや技術進歩等を踏まえた総合戦略を策定し,所要の取組を早期に開始する必要があることから,総務省では,2020年1月から「Beyond 5G推進戦略懇談会」(座長:五神真 東京大学総長(当時))を開催して議論を行い,同年6月30日に「Beyond 5G推進戦略―6Gへのロードマップ―」を公表した.本戦略は,「2030年代に期待される社会像」を構想した上で,その基盤として「2030年代に目指すべきBeyond 5Gの姿」を考え,今般のCOVID-19の感染拡大も踏まえ,今後10年に取り組むべき課題を包括的に盛り込んだものである.
2030年代には,サイバー空間と現実世界(フィジカル空間)が一体化するサイバーフィジカルシステム(CPS: Cyber Physical Systems)が更に進展し,現実世界で不測の事態が生じた場合でも,サイバー空間を通じて国民生活や経済活動が円滑に維持されるといった,強じんで活力のある社会が実現し,国連が掲げる「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成にも大きく貢献することが期待される.
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