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第5世代移動通信システム(5G)は,既に運用が開始され,産業利用など活用の広がりが期待されている.一方,増大を続ける移動通信トラヒックへ対応していくためには,継続的なシステムの容量増大が必要である.更に今後2030年代を想定した場合には,Society5.0に向けて技術や社会が高度化されていく中で,無線通信技術にも更に高い能力が求められることになる.本稿では,このような将来を想定した場合の第6世代移動通信(6G)に向けた無線通信技術の展望と,更なる高周波帯の活用などの取組について述べる.
キーワード:第6世代移動通信,ミリ波,テラヘルツ,高周波デバイス,無線トポロジー
第4世代であるLTE/LTE-A(Long Term Evolution / LTE-Advanced)に比べ,大容量,低遅延,多数接続などの能力を強化した第5世代移動通信システム(5G)は,既に運用が開始されており,従来の移動通信トラヒックの収容だけでなく,産業利用など活用の広がりが期待されている.一方,今後も増大を続ける移動通信トラヒックへ対応していくためには,継続的なシステムの容量増大が必要である.更に今後2030年代を想定した場合には,Society5.0へ技術や社会が変化していく中で,無線通信技術にも従来よりも更に高い能力が求められることになる.
Society5.0においては,仮想(サイバー)空間と現実(フィジカル)空間が相互に連携し,これまでになかった様々な高度アプリケーションが我々の生活や行動のあらゆる場面を支えることが期待されている.このような将来像においては,フィジカル空間とサイバー空間との間で,大量のデータをリアルタイムに流通することが重要である(図1).また多種多様な現場で利用されるシステムでは,例えばロボットの活用などに伴う映像や各種センシング情報など,その現場に関連した極めて大量のデータをリアルタイムに利用する様々な局所的なシステムが相互に連携するようになる.そのため,単純に全てのデータをクラウドに集約する形ではなく,様々な局所システム間でデータ通信が可能な柔軟なネットワーク(NW)となっていくことが望ましい.また,あらゆる場面で人を支えるシステムでは,様々な場所や環境条件に柔軟に対応し,必要なときに必要なデータが安定して通信できるようにする必要がある.ユーザインタフェースでは,XRなどの高度な映像技術の進歩に期待が寄せられており,XRの活用により,フィジカル空間だけでなくディジタルツインにおけるサイバー空間上の仮想物体を活用したリアルな活動ができるようになる.
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