特集 2-5 2030年に向けた次世代ネットワークの検討

電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
Vol.104 No.5 (2021/5) 目次へ

前の記事へ次の記事へ


2.超スマート化社会を支えるICTの更なる進化 特集2-5 2030年に向けた次世代ネットワークの検討 Studies on Next Generation Network towards 2030 赤田正雄

赤田正雄 華為技術日本株式会社

Masao AKATA, Nonmember (Huawei Technologies Japan K.K., Tokyo, 100-0004 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.104 No.5 pp.432-439 2021年5月

©電子情報通信学会2021

abstract

 2020年現在,世界各地域で5Gの商用導入が進展しつつある.それと並行して,2030年頃実現を目指した次世代ネットワーク(6G)の検討も世界中の標準化団体,研究フォーラムで既に始まっている.本稿では,これら次世代ネットワークの検討活動におけるファーウェイの発表の中から,ユースケース,要求条件,新規技術領域に対する検討内容を紹介する.また,6Gに向けた5Gの進化提案(5.5G)についても紹介する.

キーワード:B5G,6G,5.5G,テラヘルツ

1.は じ め に

 2019年4月3日の深夜に韓国の通信3社が世界初の5G商用サービスを開始した.以降,米国,ヨーロッパ,中国と世界各地で5G商用サービスが開始され,日本も2020年3月に続いた.これら5G商用ラッシュと前後して,次世代モバイル技術あるいは6Gの検討が世界中で開始されている.2018年にはITU-T SG13FG(Focus Group)において次世代ネットワークに関する検討が始まった.また,2019年3月にフィンランドで第1回の6G Wireless Summitが開催され,2026年まで毎年継続される予定である.これら次世代ネットワークに向けた世界の研究,標準活動の全体状況に関しては本特集号の別稿でカバーされるであろう.本稿では,これら活動の中でファーウェイが発表している次世代ネットワークの検討内容,特にユースケース,要求条件,新規技術領域の紹介を行う.また,5Gの進化提案として5.5Gコンセプトについても紹介する.

2.2018年 ITU-T Focus Group NET-2030寄書
“Internet 2030 Towards a New Internet for the Year 2030 and Beyond”

 2018年ファーウェイの在米国研究チームからITU-T SG13,FG NET-2030に,Beyond 2020に向けた将来ユースケースと要求条件の寄書が提出された(1)2.ではその白書の中で提示されたユースケースと要求条件に関する検討内容の一部を示す.

2.1 大量データ転送

2.1.1 高密度大量センサによる大量データ生成

 今後,各種センサがネットワークに高密度・大量に接続され,大量にデータを生成し,機械学習モデルの構築などに供されるであろう.数百万種類のデータがPByte(ペタバイト)単位の規模で生成されることになる.これら大量データはネットワークを介してクラウド上のアプリケーションに転送される.このような大量データの転送のために,今後もますます大容量のネットワークが必要になるであろう(図1).

図1 高密度センサから発生する大量データの例(一時間ごと)(1)


続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。


続きを読む(PDF)   バックナンバーを購入する    入会登録

  

電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。

電子情報通信学会誌 会誌アプリのお知らせ

電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード

  Google Play で手に入れよう

本サイトでは会誌記事の一部を試し読み用として提供しています。