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市場では労働力人口減少,熟練者不足といった課題があり,生産性向上とともに非労働力人口の積極活用,熟練者の効率的な活用が求められている.日立では社会課題の解決,新たな価値提供に向け,産業分野を1stステップとして現場と遠隔をつなぐ遠隔作業支援システムを開発している.本稿では,当社が考える遠隔作業支援システムの全体像を説明し,当社独自のARスマートグラスの紹介と現場適用に向けた取組を述べる.更に現場適用に向けた遠隔作業支援システムの開発アプローチを説明し,最後に開発したプロトタイプの紹介を行う.
キーワード:遠隔作業支援,5G,ARスマートグラス,高臨場感
少子高齢化が進み労働力人口減少が進む中,産業分野では生産や点検の自動化,ロボットとの協調作業導入など生産性改善を行うとともに,非労働力人口の活用に向けた取組が活発化している.労働力人口は2020年現在の6,404万人から2065年には3,946万人に減少するとの推計も総務省から提示されている(1).また熟練者不足も喫緊の問題となっており,後進の育成とともに限られた人数の熟練者を有効に活用することが求められている.ここで言う熟練者は,熟練作業を行う熟練工だけを指すのではなく,経験豊富な現場の作業者/管理者を含む.
日立(以下当社)ではこのような社会課題に対し,熟練者がリモートから現場作業者を支援することができる“遠隔作業支援”に着目し,産業分野における保守・点検や製造・組立業務を支援するソリューションの開発を進めている.
図1に従来の工場と遠隔作業支援システム導入の工場の違いを示す.従来の工場では,作業ミス,いわゆるヒューマンエラーを抑制するため,熟練者と経験の不足した非熟練者が一つの現場で一緒に作業を行うことが多く,熟練者は一つの現場にいる必要があった.しかし,熟練者不足により各現場に十分な知識を持つ熟練者を置くことが難しくなってきており,従来の工場の作業形態を変革する必要が生じてきている.そこで,現場のヒューマンエラー抑制と熟練者の有効活用を両立するシステムとして遠隔作業支援システムを構想した.
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