特集 2-8 超スマート社会におけるICT×宇宙通信

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Vol.104 No.5 (2021/5) 目次へ

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2.超スマート化社会を支えるICTの更なる進化 特集2-8 超スマート社会におけるICT×宇宙通信 ICT×Space Communications in Super Smart Society 豊嶋守生 阿部侑真 コレフ・ラドコフ ディミタル 辻 宏之 久保岡俊宏 三浦 周

豊嶋守生 正員:シニア会員 国立研究開発法人情報通信研究機構ワイヤレスネットワーク総合研究センター

阿部侑真 正員 国立研究開発法人情報通信研究機構ワイヤレスネットワーク総合研究センター

コレフ・ラドコフ ディミタル 国立研究開発法人情報通信研究機構ワイヤレスネットワーク総合研究センター

辻󠄀 宏之 正員:フェロー 国立研究開発法人情報通信研究機構ワイヤレスネットワーク総合研究センター

久保岡俊宏 国立研究開発法人情報通信研究機構ワイヤレスネットワーク総合研究センター

三浦 周 正員 国立研究開発法人情報通信研究機構ワイヤレスネットワーク総合研究センター

Morio TOYOSHIMA, Senior Member, Yuma ABE, Amane MIURA Members, Dimitar Radkov KOLEV, Toshihiro KUBO-OKA, Nonmembers, and Hiroyuki TSUJI, Fellow (Wireless Networks Research Center, National Institute of Information and Communications Technology, Koganei-shi, 184-8795 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.104 No.5 pp.453-462 2021年5月

©電子情報通信学会2021

abstract

 現在,Beyond 5Gや6Gにおける情報通信技術のあり方についての議論が加速している.宇宙通信分野では,衛星通信が高度化・活発化しており,地上と宇宙をシームレスにつなぐ高度な情報通信ネットワークの実現が期待されている.5Gでは,高速大容量,超高信頼低遅延,超大量端末という三つの特徴があるが,更に将来的には空間的なネットワークの拡張が必要とされ,非地上系ネットワークと呼ばれる移動体との通信の高度化が重要になると考えられる.本稿では,Beyond 5G/6G時代における超スマート社会の将来像について述べる.

キーワード:ハイスループット衛星,衛星コンステレーション,高高度プラットホーム,光衛星通信,衛星量子暗号

1.は じ め に

 近年,世界的に通信衛星のディジタル化,多数の小形衛星による衛星コンステレーション計画の衛星打上げ等,衛星通信が高度化・活発化してきている.地上においては2020年に第5世代移動通信システム(5G)が本格的に導入され,いわゆるBeyond 5Gや第6世代移動通信システム(6G)に向けた研究開発も世界各国で開始されている.その先には,更に将来の2030年代に必要とされる安心・安全な超スマート社会における三次元のシームレスなネットワーク実現を創造していく必要がある.

 本稿では,最先端の衛星通信技術,災害時及び移動体等に貢献する通信技術の研究開発について述べ,将来必要とされる情報通信技術(ICT)や,宇宙通信技術の果たすべき役割について議論する.2.で世界における宇宙通信技術の研究開発動向を俯瞰し,3.でそれらの技術に対する標準化動向を紹介する.4.では国内での研究開発動向を紹介し,5.において将来期待される超スマート社会におけるICTと宇宙通信技術について述べる.

2.世界における宇宙通信技術の研究開発動向

2.1 ハイスループット衛星の動向

 近年,衛星通信分野ではハイスループット衛星(HTS: High Throughput Satellite)による通信容量の大容量化が進んでいる.HTSはビット単価の低減を目的としており,大容量化のためにKaバンド等の高周波数帯を用いた広帯域の確保,100ビーム級のマルチビーム化と周波数再利用による周波数利用効率の向上,多数のゲートウェイ局によるフィーダリンクの大容量化等を特徴とする.最近では,1,000ビーム級・Tbit/s級のHTS(VHTS)が計画されており,技術的には通信リソースの利用効率化に向けたディジタル化や更なる大容量化のため光通信の利用に向けた取組が進んでおり,Boeingのコンパクトなフルディジタル静止衛星702Xの開発や,中国における4.8Gbit/sの光通信ミッションを有するKaバンドHTS(実践20号)の打上げが2019年に行われている.

2.2 衛星5G技術に関する研究開発の動向


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