小特集 1. 総論――理工系教育と博士を考える――

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Vol.104 No.6 (2021/6) 目次へ

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多様化する大学教育――博士課程教育リーディングプログラム――

小特集 1.

総論

――理工系教育と博士を考える――

What Is a Ph.D.?: Think about Science and Engineering Graduate School Education

山中直明 塩田茂雄

山中直明 正員:フェロー 慶應義塾大学理工学部情報工学科

塩田茂雄 正員 千葉大学大学院工学研究院

Naoaki YAMANAKA, Fellow (Faculty of Science and Technology, Keio University, Yokohama-shi, 223-8522 Japan) and Shigeo SHIODA, Member (Graduate School of Engineering, Chiba University, Chiba-shi, 263-8522 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.104 No.6 pp.560-562 2021年6月

©電子情報通信学会2021

 科学技術立国日本にとって,高度高等教育の重要性や高度技術者の育成の重要性は,疑う余地もない.一方,御存じのとおり,大学院博士課程進学者は他のOECD諸国が大幅に増えているのに対し,日本はむしろやや減少傾向にある.「人材は社会の米」であり,「技術の源泉」である.言い換えれば,人材は大学等を出た後,40年とも50年とも言われる長い期間活躍する.2021年1月25日の日本経済新聞にも,100万人当りの博士取得者数が,日本は米国,韓国の1/3以下となってしまっていることが,一面の記事として掲載されている.図1は,現状の博士取得者の割合を示している.記事は,「博士に対する経済的サポートを政府が行う」という,ポジティブな施策に関するものである.ある大学の先輩教員から,「人材は社会が育てるもの.学生は社会全体の子供です」とヨーロッパの人の多くは考えていると教えられた.一部のヨーロッパでは,大学の学費は極めて安い.そのため勉強したい人は大学に行き,そして社会で活躍して(税金として)それを返すシステムであるとも考えられる.日経の記事にある政府の施策は,これと同様に社会が人材の成長をサポートするという考えのものであるかもしれない.学生は長い人生のキャリアパスの中,自らが中心となり追求し完成させたり,チームの中で大規模なプロジェクトを経験したり,グローバルマーケットでタフな交渉や協議をする.更にはリーダーとして後輩の指導を行い,会社経営や,場合によっては国の指針を握る人材となる.


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