電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
© Copyright IEICE. All rights reserved.
|
解説
情報指向ネットワークの最新動向[Ⅲ・完]
――ICNの利活用と実証実験――
Recent Trend of Information-centric Networking [Ⅲ・Finish]: Application and Proof-of-concept of Information-centric Networking
A bstract
ICN(Information-centric Networking)は新しいネットワークの考え方であるがゆえに,その考え方をどのように利活用すればよいかは直感的に理解しにくい.当初は,ネットワーク内のキャッシュがICNのメリットとして考えられていたが,最近ではMEC(Multi-access Edge Computing)やIoT(Internet of Things)といった新しい技術領域への適用に対するメリットが積極的に議論されている.本稿では,ICNの利活用の理解を深めるために,ICNのアプリケーションと,我々が行ってきた実証実験について紹介する.
キーワード:ICN,テストベッド,実証実験,アプリケーション
ICN(Information-centric Networking)は,エンドデバイス間を「つなぐ」ことを目的としたネットワークから,コンテンツを「運ぶ」ことを目的としたネットワークへのパラダイムシフトである.しかしながら,そのような新しい「考え方」が実際にどのように役に立つのかは分かりにくい.ICNの特徴的な機能としては,名前によるルーチングや,ネットワーク内キャッシュの活用,セッションレス通信などが挙げられる.このような機能をどのようにアプリケーションやサービスに適用させるかを明確にする必要がある.
アプリケーション自体は何も変えず,ICNを用いて効率の良いネットワークを構築するという考えもある.しかしながら本稿では,ICNの機能を利活用した「ICNならでは」のアプリケーションを提供することに焦点を当てる.近年,ICNの適用先として,IoT(Internet of Things)やMEC(Multi-access Edge Computing)といった新しいサービスやネットワークが考えられている.これらに対して「ICNならでは」の機能を活用することにより,既存のIPネットワークでは困難なアプリケーションが提供可能となる.
本稿では,ICNの具体的なアプリケーションと,我々が実施してきた実証実験について紹介する.本稿を通じて,ICNの機能がどのように使われるのかのイメージを伝え,ICNの新しい「考え方」の理解に資することができればと考える.
ICNの特徴的な機能としてまず挙げられるのが,ネットワーク内キャッシュによる冗長トラヒックの削減である.特に動画像コンテンツは,トラヒック量も多く複数人が視聴するため,キャッシュによる効果が大きく,ICNの典型的な適用先として広く検討されている.例えばCiscoは,Wi-FiとLTEのマルチパスで4Kビデオストリーミングのデモを行っており(1),我々もビデオストリーミングにおいて端末間のフェアネスを考慮することでキャッシュヒット率を向上させる手法のデモを行った(2).
続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。
電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。
電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード