解説 ISO/IEC JTC1におけるIoT関連標準化動向

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Vol.104 No.6 (2021/6) 目次へ

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ICT標準化解説シリーズ

 解説 

ISO/IEC JTC1におけるIoT関連標準化動向

Summary on Standardization for IoT and Related Areas in ISO/IEC JTC1

河合和哉 山田朝彦 山下 蘭 横谷哲也

河合和哉 国立研究開発法人産業技術総合研究所標準化推進センター

山田朝彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所サイバーフィジカルセキュリティ研究センター

山下 蘭 (株)東芝研究開発センター

横谷哲也 正員:フェロー 金沢工業大学工学部電気電子工学科

Kazuya KAWAI, Nonmember (Standardization Promotion Center, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, Tokyo, 135-0064 Japan), Asahiko YAMADA, Nonmember (Cyber Physical Security Research Center, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, Tokyo, 135-0064 Japan), Lan YAMASHITA, Nonmember (Corporate Research & Development Center, Toshiba Corporation, Kawasaki-shi, 212-8582 Japan), and Tetsuya YOKOTANI, Fellow (College of Engineering, Kanazawa Institute of Technology, Nonoichi-shi, 921-8501 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.104 No.6 pp.603-609 2021年6月

©電子情報通信学会2021

A bstract

 IoT及びその関連領域に関するサービス及び技術については国際標準化の場で活発に議論が行われている.本稿では,この中でISO/IEC JTC 1/SC 41について焦点を当てる.ISO/IEC JTC 1/SC 41では,2016年11月の設立以来,IoT及び関連技術について参照アーキテクチャを含めたシステムレベルでの様々な標準を策定してきた.2020年11月には,Digital Twinが新しいワーキンググループとして設置され,活動の範囲を拡大している.この中で,3件の日本起案の標準についても活発な議論が行われている.

キーワード:IoT,ISO/IEC JTC1,SDO,国際標準,システムインテグレーションエンティティ

1.は じ め に

 Internet of Things(IoT)及び関連技術に関する規格は様々な標準化機関で議論されている.その状況については文献(1)等で報告されている.本稿では,これらの中でISO/IEC JTC 1/SC 41に焦点を当て,最新動向を報告する.また,この標準化機関での三つの日本起案の標準規格について紹介する.更に,今後の展望について触れる.本稿は,文献(2)で発表された内容を拡張し踏み込んだ報告とする.

2.ISO/IEC JTC 1/SC 41の動向

 IoTにおける情報通信技術に関する国際標準化は,International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector(ITU-T:国際電気通信連合 国際電気通信標準化局)とISO/IEC JTC 1(International Organization for Standardization(ISO:国際標準化機構)とInternational Electrotechnical Commission(IEC:国際電気標準会議)のJoint Technical Committee(JTC:合同技術委員会))で行われているが,本章ではISO/IEC JTC 1における標準化活動について,その動向を概説する.

2.1 ISO/IEC JTC 1におけるIoTの標準化への取組

 ISOとIECは,双方に関連する情報技術についてはJTC 1を設置して標準の開発を行っている.2007年に開催されたJTC 1総会において,韓国の提案によりセンサネットワークに関する標準化について議論した結果,Study Group on Sensor Networks(SGSN)が設置された.SGSNではGap分析(標準化組織間の差異分析)等が行われ,2009年の総会で作業グループ(WG)としてWG 7 on Sensor Networksに改組し,標準化活動が開始された.

 これに対してIoTに関しては,2012年のJTC 1総会に,これも韓国からIoTに関する議論を行うためSpecial Working Group(SWG)の設置が提案され,SWG 5 on Internet of Thingsが設置された.SWG 5ではIoTの定義やGap分析等を行い,2014年の総会でWG 10 on Internet of Thingsに改組して,IoTの用語集と参照アーキテクチャの開発から標準化活動が開始された.


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