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講座
高周波測定を学び直す:Sパラメータ解析とネットワークアナライザ[Ⅱ]
――ネットワークアナライザの基本性能と校正手法――
S-parameter and Network Analyzer [Ⅱ]: VNA Specification and Calibration Method
前回は高周波でよく利用されるSパラメータの復習,及び,Sパラメータを測定するためのベクトルネットワークアナライザ(VNA: Vector Network Analyzer)について,その構造を説明した.実際VNAを使って正確な測定をするためには,校正を実施してから利用する必要があるが,校正手法も幾つかあり,また校正も万能ではない.測定の正確性・再現性には,基本性能と,DUTに適した校正手法,適切な操作全てが影響する.
まずVNAの主な性能指標について説明する.ここで紹介するダイナミックレンジやトレース雑音,ダイナミック確度,安定度といったものは校正では改善することができないため,これらが測定値に与える影響を事前に把握した上で,校正・測定を実施する必要がある.
VNAのダイナミックレンジには幾つかの定義があるが,一般的にはテストポート最大出力パワーと,雑音フロアの差を指す.例えば最大出力パワー10dBm,雑音フロア-120dBm(IFBW 10Hz)の場合,ダイナミックレンジは10-(-120)=130dBとなる.雑音フロアはIFBWによって変動する(図1).IFBWを1/10にすると雑音フロアは約10dB小さくなる.なお,VNAによっては,最大テストポートパワー出力時に,別のテストポートに接続するとレシーバがひずんでしまうような機種もある.このような場合,空間損の大きいOTA(Over the Air)でのアンテナテストなどでは問題ない.他方,フィルタなどの,通過帯域で損失が小さく,かつ,阻止帯域で損失が大きいデバイスの測定をする場合,最大出力パワーで測定することができず,ダイナミックレンジが減少するという問題がある.
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