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COVID-19の猛威はいまだに続いています.この新型感染症の影響を受けておられる方々にお見舞いを申し上げるとともに,世界中で感染拡大抑止に尽力されている皆様に,心から感謝と敬意を表します.
これまでもリーマンショックや大規模自然災害など私たちの暮らしに大きな影響を与える出来事はありましたが,COVID-19は,全世界の人が,同時に同じ問題に直面するという点で,これまでにない大きなインパクトをもたらしています.台湾のオードリー・タン氏は,COVID-19によるソーシャルディスタンスは,人々を分断してしまったが,一方で,パンデミック以前は決してつながらなかった人同士を結び付け,更にAI技術等の新しい可能性に気づかせている,といった趣旨をコメントしています(注1).今回のCOVID-19に起因した新しい結び付きや技術への気づきと,社会システムを変革するドライバとして期待されているDigital Transformationとの相乗効果により,我々の生活スタイルやビジネススタイルは,これまでと大きく異なる価値観/社会システムに変わっていく,と感じている人も多いのではないでしょうか? またアフターCOVID-19を見据えた新しい社会システムの実装においては,電子情報通信学会がカバーする多くの技術領域がキーになり貢献し得ると,私は感じています.
将来の社会システムがどう変化していくかはいろいろな見方が存在しますが,以下では,あえて大きく変化が加速する方向に振って考えてみたいと思います.
従来の社会組織(企業,教育機関,行政機関,他)の様式は,人が組織の物理拠点に集まる対面が前提でした.それがCOVID-19によるテレワークの日常という新たな様式への変化を強要されました.その中でリモート環境でも生産性が維持でき,多くの仕事が可能であることが証明されつつあります.私個人の経験を通しても,海外研究者やビジネス関係者との議論等を,COVID-19前よりも頻繁に気楽に行うようになり,時間や空間の壁は明らかに低くなりました.
この経験から,会社や学校,住宅とオフィス,購買と配送/物流,等の多くの社会システムにおいて,それぞれの機能に適した新たな様式の可能性があると感じています.その大きな変化をポジティブに捉え,いち早く対応する組織が次の世界をリードできるのかもしれません.
一方,まだまだリモート環境はリアルに及ばない面があることも事実です.インタラクティブな議論,大勢でのディスカッション,人の表情や感情を読み取りながらのコミュニケーション等.また人と実際に会って議論すると,非常に密度の高い情報交換ができ,触れ合いを楽しむことができます.新しい社会の様式に変わるとしても,人間生活の一部として失いたくない部分もあるはずです.人間ならではの空間を,どのように実現するかが,新しい社会における新たな課題と思います.
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