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高周波測定を学び直す:Sパラメータ解析とネットワークアナライザ[Ⅲ・完]
――ネットワークアナライザを用いた測定の実際――
S-parameter and Network Analyzer [Ⅲ・Finish]: Cable, Amplifier Measurement by VNA
これまでの2回ではSパラメータの復習及び,Sパラメータを測定するためのVNAの構造・基本性能指標とその校正手法について説明してきた.最終回である今回は,ケーブルと増幅器の測定を例にして,測定上の注意点や最近のVNAの動向について紹介したい.
VNAは校正しなければ正確な測定はできないが,校正をしなくてもおおよその値は確認することができる.そこで,校正を実施する前に,まずDUTを接続して以下のことを確認することをお勧めしたい.校正後に設定変更が必要になった場合,再度校正作業を実施することになる場合があるからだ.
①ダイナミックレンジは十分か
②トレース雑音は所望の範囲か
③テストポートケーブルを動かすことによる測定値変動は小さいか
例えばフィルタを測定する場合,フィルタの通過域だけでなく減衰域において,十分なダイナミックレンジが確保できているか確認する必要がある.十分でない場合には,IFBWを狭くしたり,パワーを大きくするなどして対応する.トレース雑音も同様である.校正作業や測定時には,校正キット及びDUTの脱着のために,どうしても多少はテストポートケーブルを動かす必要がある.トレース雑音を十分抑えていても,ケーブルを動かすことによる変動の方が大きければ意味がない.ケーブルやアダプタ類は消耗品だと認識してほしい.安定なケーブルとそうでないケーブルの判断は位相フォーマットで見ると分かりやすい.図1は,ある二つの同じモデルのケーブル(#1,#2)を,同じ程度だけ曲げてから元の状態に戻したときの位相及び群遅延の変動を比較したものである.#1はほぼ位相が一定であるが,#2は変動が大きいことが分かる.ケーブルを動かすことによる変動量が,期待している精度・再現性に対して許容できるか見極めた上で,測定に利用するか判断する必要がある.
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