小特集 グローバル科学社会シリーズ――インドネシア編―― 小特集編集にあたって

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Vol.104 No.9 (2021/9) 目次へ

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小特集

グローバル科学社会シリーズ

――インドネシア編――

小特集編集にあたって

塩田茂雄

 グローバル科学社会シリーズは,電子情報通信技術を軸として,特定の国に焦点を当てて,日本との教育,産業,文化,社会生活の違いや日本との教育研究の交流状況を紹介する小特集であり,(とりわけ若い世代の)読者がこれらの国に興味を持ち,小特集の記事をきっかけとして今後の更なる交流が促されることを目的としている.本シリーズは2018年2月号のインド編からスタートし,英国編(2019年2月号),タイ編(2019年9月号),エジプト編(2021年4月号)を経て,第5回に当たる今回はインドネシア編である.

 2020年のインドネシアの総人口は約2億7,000万人であり,中国,インド,米国に続いて世界第4位である.2020年のGDPは世界第16位である.人工ピラミッドを見ると,日本と全く異なり,若い世代の人口が多い.これからの発展が大いに期待される若い国である.

 本小特集の2番目の記事に,日本とインドネシアの交流の歴史が詳細に記されている.この記事によると,インドネシア語で混ぜることを意味する「チャンプル」が沖縄料理のゴーヤチャンプルの語源であること,「ジャガイモ」はジャワ島で採れた「ジャワイモ」に由来していることなど,インドネシアと日本の意外な結び付きを知ることができる.日本とインドネシアの経済的な関係は強い.日本は,液化天然ガスをはじめとする多くの天然資源をインドネシアから輸入しており,インドネシアには多くの日本企業が進出している.日本のアニメ,漫画,J-POPはインドネシアでも人気らしく,日本国外で最初に結成されたAKB48グループはインドネシアのJKT48である.一方で,インドネシアの教育,産業,生活の実態を知る機会は思いのほか少ない.

 本小特集では,インドネシアの国内外で活躍されている6人の方に執筆頂いた計3編の記事を紹介する.1番目は,Riri Fitri Sari氏(インドネシア大学)とDewi Yanti Liliana氏(ジャカルタ国立技術専門学校講師)による情報通信分野の高等教育に関する記事である.2番目は,Josaphat Tetuko Sri Sumantyo氏,野村純氏(共に千葉大学),Yusli Wardiatno氏(駐日インドネシア共和国大使館)によるインドネシアの教育制度と,インドネシアと日本の間の教育研究交流を紹介する記事である.(第一著者のJosaphat氏は,金沢大学で学部4年間と修士課程の2年間を過ごし,千葉大学で学位を取り,現在,千葉大学の教授として,日本とインドネシアの両国で精力的に活躍されておられる先生である.)3番目は,Cahya Edi Santosa氏(千葉大学)とJosaphat Tetuko Sri Sumantyo氏による記事であり,インドネシアと日本の両方の体験を通して,教育研究現場や社会生活に急速に浸透しつつあるディジタル化・ICT化について述べられている.

 本小特集を通じて,多くの読者がインドネシアに興味を持ち,インドネシアと日本の交流が更に深まるきっかけとなれば幸いである.最後に,御多忙の中,記事を執筆頂いた執筆者の皆様,英語の記事を日本語に翻訳して頂いた翻訳者の皆様,更には本企画を進める上で御支援・御協力を頂いた編集チームメンバーの皆様,学会事務局の皆様をはじめとする多くの皆様に深謝する.

小特集編集チーム

 石橋 圭介   塩田 茂雄   川端 明生   川喜田佑介   荒木 徹也   石原 智宏   井上 中順   井口  寧   大島 正資   笠原 正治   小林 由枝   高田 潤一   中村 祐一   野村 晶代   茂呂征一郎   八木 秀樹   渡辺 正裕 


本小特集の原文(英語)は,会誌オンライン版〈English〉で御覧頂けます

https://www.journal.ieice.org/index.php?lang=E



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