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グローバル科学社会シリーズ――インドネシア編――
小特集 1.
インドネシアにおける情報通信教育の概観
Education on Information and Communication in Indonesia: A Review
Abstract
インドネシアでは,情報通信技術(ICT)の発展により,情報のやり取り,勉学,仕事,生き方など様々な面で変革が起きている.それに伴い,サイバーフィジカルシステムとIndustry 4.0に支えられた知識が要求され,高度に教育を受けた人材が必要となった.本稿はインドネシアにおける情報通信技術の教育,特に高等教育について概要を述べる.具体的には,インドネシアにおけるコンピュータと通信の発展の歴史,ハードウェアとソフトウェアの普及,インターネットの登場,ユビキタス技術展開のための専門技術を有する人材の必要性の高まりを概観する.更に,ICTに関する高等教育機関及びICT教育における品質保証について述べる.情報通信教育は,インドネシア経済発展の原動力となる技術を広く浸透させている.
キーワード:通信,教育,情報通信,教育課程認定,電気通信,品質保証,ICT,Industry 4.0
情報技術はコンピュータと通信技術が合わさった結果生まれ,社会生活のあらゆる面を急速に変えた.また,科学技術の発展は,人々の考え方,生き方,働き方,勉強の仕方などあらゆる活動の進め方を変えた.本稿ではインドネシアにおけるコンピューティングと通信の教育の歴史を振り返る.インドネシアは人口で見ると世界4番目の大国である.インドネシアの情報社会の特徴は参加型で,より民主的なことである.
1990年代にインターネット技術が発展し,様々なプログラム,情報システム,指先で扱えるアプリケーションが現れた.画期的な出来事として,国民一人一人に個人番号を付与したことが挙げられる.内務省は,教育分野も含めて人材管理にITを利用することを目指して電子身分証明書(KTP)を導入した.
情報技術とは,適切正確でタイムリーな情報品質を確保するために,データを取得し,編集し,保存し,様々に操作するデータ処理技術である(1).情報技術はまた意思決定プロセスで戦略的に使うべきものである(2).情報通信技術(ICT)がインドネシア社会に登場し,なじみ深いツールとなっている.今では,ICTは教育,経済,社会,文化,地理,宗教の分野だけでなく,様々な分野で重要な役割を果たしている.
COVID-19禍で,ICTは接触の少ない経済を実現する主要手段となっている.人々は互いの意思疎通にWhatApps,Instagram,Facebook,Telegram,Twitterなどのソーシャルメディアを用いている.教育分野では,Moodle,Google Classroom,Microsoft Teams,Google Meet,Zoomなど様々な学習管理システムが広く使われており,同期あるいは非同期の学習設備となった.
本稿の構成は以下のとおりである.2.ではインドネシアの教育におけるICTについて述べる.3.はインドネシアでのコンピューティングの歴史を振り返る.4.ではインドネシアの教育におけるICTの発展について述べる.5.はICT分野の教育機関について述べる.6.はICT教育における品質保証について述べる.7.では考察と分析を行う.8.では本稿をまとめる.
2.7億人のインドネシア国民の様々な要求に対してどのようにバランスを保つかは政府及び社会にとって大きな挑戦であった.教育,特に学習でICTがどのように使われてきたかは,コンピュータやネットワークなどのICTハードウェア及び通信技術の発展の歴史を強く反映している.Leinonen(2005)はその発展を五つのフェーズに分けている(3).
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