特集 8. 小形低電力100Gbit/sディジタルコヒーレントトランシーバとデバイス技術の開発

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Vol.105 No.11 (2022/11) 目次へ

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シリコンフォトニクスを用いた光通信素子の研究開発最新動向

特集

     8.

小形低電力100Gbit/sディジタルコヒーレントトランシーバとデバイス技術の開発

Development for Compact and Low-power 100Gbit/s Digital Coherent Transceiver and Device Technologies

尾中 寛 山中祥吾 相澤茂樹 赤司 保

区切り

尾中 寛 正員:フェロー 富士通株式会社フォトニクスシステム事業本部

山中祥吾 正員 日本電信電話株式会社NTTデバイスイノベーションセンタ

相澤茂樹 正員 NTTエレクトロニクス株式会社ブロードバンドシステム・デバイス事業本部

赤司 保 正員 富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社先行技術開発センター

Hiroshi ONAKA, Fellow (Photonics System Business Unit, Fujitsu Limited, Kawasaki-shi, 211-8588 Japan), Shogo YAMANAKA, Member (NTT Device Innovation Center, NIPPON TELEGRAPH AND TELEPHONE CORPORATION, Atsugi-shi, 243-0198 Japan), Shigeki AISAWA, Member (Broadband Systems & Device Business Group, NTT Electronics Corporation, Yokohama-shi, 221-0031 Japan), and Tamotsu AKASHI, Member (Advanced Technologies Research Center, Fujitsu Optical Components Limited, Kawasaki-shi, 211-8588 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.105 No.11 pp.1333-1340 2022年11月

©電子情報通信学会2022

abstract

 本稿では,100km程度のデータセンター間の100Gイーサネット通信をシンプルに行うことを目的として,ルータやスイッチのNIC(ネットワークインタフェースカード)に装着できるプラガブルタイプの小形低電力100Gbit/sディジタルコヒーレントトランシーバの開発成果について報告する.キーデバイスとなる低消費電力DSP-LSIと各種集積化光デバイスの機能や特性及び,開発を行った複数のプラガブルコヒーレントトランシーバの構成について説明する.

キーワード:データセンター,光トランシーバ,ディジタルコヒーレント,DSP,光デバイス

1.開発の狙いと目標

 本稿では筆者らがNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託研究として技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)において2012年度から2016年度にかけて「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」の研究課題の一つとして研究開発を実施した,小形低電力100Gbit/sディジタルコヒーレントトランシーバとそれに適用した各種光デバイスに関する成果を報告する.

 図1は2011年頃に本研究開発テーマを企画した際に作成した研究目標の概念図である.当時は,100Gbit/sのディジタルコヒーレント光伝送の技術開発のれい明期で,通信事業者の幹線網や都市内網用途に開発が進められた時期であり,この技術を搭載した光トランシーバ部分の消費電力は100Wを超えていた.筆者らは,CMOS半導体プロセスや光デバイス技術の進展を鑑みて,この技術を発展させてルータのネットワークインタフェースカード(NIC)に直接搭載可能なように100Gbit/sディジタルコヒーレント光トランシーバをA6サイズ(105×148mm)程度まで小形化し,同時に30W程度の消費電力を実現することを企画した.これにより,データセンター間を専用の光伝送装置を介さずにNIC間で直接接続し,光伝送技術の適用領域を拡大・普及させることを開発目標とすることとした.

図1 研究開発の目標  本研究開発テーマを企画した2011年に描いた小形低電力ディジタルコヒーレントトランシーバの適用領域で,10年後の現在ではデータセンターインタコネクト(DCI)と呼ばれる市場として確立している.


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