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シリコンフォトニクスを用いた光通信素子の研究開発最新動向
9.
シリコンフォトニクス技術を用いた超小形光トランシーバ「光I/Oコア」の事業への取組み
Optical I/O Core Business Initiatives Utilizing Silicon Photonics Technology
アイオーコア社は,PETRAの光エレクトロニクスシステム実装技術開発プロジェクトの技術承継により25Gbit/(s・ch)の超小形光トランシーバ「光I/Oコア」の事業会社として2017年に設立された.2019年から100Gbit/s光I/Oコアの販売を開始している.現在はコンピューティング領域への応用を目指し事業を進めている.本稿では,光I/Oコアの技術を述べた後,近年,増えている105℃の高温動作かつ高信頼化への対応やサーバ冷却で活発となっている液浸冷却に向けた評価状況等について紹介する.またPCIe,Gen5対応の光I/Oコア,400Gbit/sに向けた開発について概説する.
キーワード:Siフォトニクス,光インタコネクション,光トランシーバ,高温動作,液浸
PETRAの光エレクトロニクスシステム実装技術開発プロジェクトの技術を承継し,100Gbit/s(25Gbit/s×4ch)の超小形光トランシーバ「光I/Oコア」の製造,販売を行っている.光I/Oコアはコンピューティング領域の光配線を実現する光トランシーバの位置付けである.データセンターやHPC(High Performance Computer)ではデータ量の爆発が際限なく拡大している.コンピューティングでは複数のアクセラレータのようなデータ処理用のボードをCPUが制御するアーキテクチャへと変化している(1).ボード間接続では≧数百Gbit/sを超えるスループットが要求される.ボード端に取り付け使用するプラガブル型光トランシーバが主流である.更にスループット向上かつ省電力に向け,LSI-PKG上やLSI近傍の基板上に光トランシーバを配置し電気伝送の負荷を低減する構成の開発が進んでいる.Co-PKG Optics,NPO(Near Package Optics)(2),EOM(Embedded Optical Module)等の形態がある.いずれも,光トランシーバの超小形化,低消費電力化,低コストが共通の要求でありシリコンフォトニクス技術の活用が期待されている.
光I/Oコアは主にNPO,EOMへの適用を主眼に開発してきた.高温動作かつ高信頼性の数百Gbit/sまでの超小形光トランシーバの製品化を進めている.装置内への配置を考えた場合リペアは不可であり,故障しないことが前提になる.また大規模LSIという発熱体近傍に配置する場合や使用環境により,85℃以上の105℃での動作が求められる.高温動作,高信頼性で数百Gbit/sのNPO,EOMの開発に注力している.これらの技術を基盤として将来は>Tbit/sのCo-PKGの開発へステップしていく.光I/Oコアで想定している領域を以下に述べる.光インタコネクションの主な適用領域としてデータセンターがある.データセンターは,コンピューティングを担うサーバラック群とそれを相互につなぐスイッチNWから成る.当社はスイッチNWではなくサーバ内のコンピューティング領域となる光インタコネクションに注力している.ラック内のボード間伝送は数mから長くても数十mでありDAC(Direct Attach Cable)若しくはAOC(Active Optical Cable)が主に用いられているが,高速化,省電力化の要求に従いCo-PKG,NPO,EOM等の形態の導入検討が始まっている.コンピューティング領域では数百Gbit/sのスループットが求められておりNPO,EOMが適している.産業機器では大量のデータ処理を行っている機器があり,一種のコンピューティングであり同様の要求がある.また,RAN(Radio Access Network)でもミリ波でアンテナ内のCIPRIのデータ処理を行う部分で同様の要求がある.当社の注力している領域を図1に示す.図2に開発ロードマップを示す.現在の主な製品は100Gbit/s(25Gbit/s×4ch)であり,PCIe_Gen5用の,128Gbit/s(32Gbit/s×4ch)のサンプルを出荷している.2025~2026年の製品化に向けて400Gbit/s(50Gbit/s×8ch),256Gbit/s(64Gbit/s×4ch)の開発を進めている.基本構成を変えずデバイスの性能向上で対応する計画で進めている.
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