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シリコンフォトニクスを用いた光通信素子の研究開発最新動向
13.
異種材料集積を用いた機能可変光集積回路
Toward Reconfigurable Photonic Integrated Circuit Using Heterogeneous Material Integration Technology
将来的なシリコンプラットホーム上の機能可変光集積回路の実現を目的として,そのための技術的課題を議論する.異種材料集積直接接合技術として表面活性化接合を検討し,異なる格子定数を有する基板を直接接合することに成功した.この方法によるⅢ-Ⅴ族半導体/SOI集積を利用した光能動素子(レーザ,光増幅器,受光器)及び組み合わせた機能回路として波長変換回路を実証した.また磁性材料集積による不揮発性光スイッチについて検討し,MZI構造とリング構造において不揮発性動作とともに,直接接合による光スイッチを実証した.
キーワード:異種材料集積,光FPGA,ハイブリッド集積,不揮発性光スイッチ
シリコンフォトニクスの登場は,光集積回路の実用化に大きな役割を果たした.これまでも折々で述べられてきたように,シリコンフォトニクスは大量生産と親和性が高く,エレクトロニクスにおけるCMOS回路作製技術が利用可能である.そのため,安価な光集積回路が実現できるのである.しかしながら,このストーリーは重要な観点がある.「安価」となるには,コスト計算における割り算の分母(生産数)が巨大である必要があり,エレクトロニクスにおけるそれに比べ,フォトニクスはまだまだ小さいのが現実である.近年あらゆるところに光技術が必要とされているが,CPUのような汎用品は少ないからである.実はエレクトロニクスにおいても同じことが言え,最先端作製技術を利用するファウンドリーを埋め尽くすほどのボリュームがある製品は種類としてはそれほど多くはない.エレクトロニクスにおいては,それを解決するため,Field Programable Gate Array(FPGA)が多く利用されるようになってきた.FPGAは同じ電子回路であっても,現場で回路の構成を変更できるため,アプリケーションに応じて機能を可変することができる.また電子回路自身の設計に関わるコストや期間も削減できるため,急速にその利用が拡大されている.フォトニクスも同様にそれが可能となれば,光集積回路としては汎用的な構成となり生産数も上がり,また,コストや開発期間の短縮も可能となると期待できる.このような光集積回路を光FPGA若しくは再構成可能光集積回路(R-PIC: Reconfigurable Photonic Integrated Circuits)と呼ぶ.筆者らは,図1のような基本構成を提案している(1).干渉器,フィルタやミラーなどで構成される受動素子群と利得領域を含む能動素子群の間を,スイッチによるルーチングを行う構成である.
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