特集 13. 異種材料集積を用いた機能可変光集積回路

電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
Vol.105 No.11 (2022/11) 目次へ

前の記事へ次の記事へ


枠

シリコンフォトニクスを用いた光通信素子の研究開発最新動向

特集

     13.

異種材料集積を用いた機能可変光集積回路

Toward Reconfigurable Photonic Integrated Circuit Using Heterogeneous Material Integration Technology

西山伸彦 庄司雄哉

区切り

西山伸彦 正員:シニア会員 東京工業大学工学院電気電子系

庄司雄哉 正員 東京工業大学科学技術創成研究院未来産業技術研究所

Nobuhiko NISHIYAMA, Senior Member (School of Engineering, Tokyo Institute of Technology, Tokyo, 152-8550 Japan) and Yuya SHOJI, Member (Institute of Innovative Research, Tokyo Institute of Technology, Tokyo, 152-8550 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.105 No.11 pp.1368-1374 2022年11月

©電子情報通信学会2022

abstract

 将来的なシリコンプラットホーム上の機能可変光集積回路の実現を目的として,そのための技術的課題を議論する.異種材料集積直接接合技術として表面活性化接合を検討し,異なる格子定数を有する基板を直接接合することに成功した.この方法によるⅢ-Ⅴ族半導体/SOI集積を利用した光能動素子(レーザ,光増幅器,受光器)及び組み合わせた機能回路として波長変換回路を実証した.また磁性材料集積による不揮発性光スイッチについて検討し,MZI構造とリング構造において不揮発性動作とともに,直接接合による光スイッチを実証した.

キーワード:異種材料集積,光FPGA,ハイブリッド集積,不揮発性光スイッチ

1.は じ め に

 シリコンフォトニクスの登場は,光集積回路の実用化に大きな役割を果たした.これまでも折々で述べられてきたように,シリコンフォトニクスは大量生産と親和性が高く,エレクトロニクスにおけるCMOS回路作製技術が利用可能である.そのため,安価な光集積回路が実現できるのである.しかしながら,このストーリーは重要な観点がある.「安価」となるには,コスト計算における割り算の分母(math生産数)が巨大である必要があり,エレクトロニクスにおけるそれに比べ,フォトニクスはまだまだ小さいのが現実である.近年あらゆるところに光技術が必要とされているが,CPUのような汎用品は少ないからである.実はエレクトロニクスにおいても同じことが言え,最先端作製技術を利用するファウンドリーを埋め尽くすほどのボリュームがある製品は種類としてはそれほど多くはない.エレクトロニクスにおいては,それを解決するため,Field Programable Gate Array(FPGA)が多く利用されるようになってきた.FPGAは同じ電子回路であっても,現場で回路の構成を変更できるため,アプリケーションに応じて機能を可変することができる.また電子回路自身の設計に関わるコストや期間も削減できるため,急速にその利用が拡大されている.フォトニクスも同様にそれが可能となれば,光集積回路としては汎用的な構成となり生産数も上がり,また,コストや開発期間の短縮も可能となると期待できる.このような光集積回路を光FPGA若しくは再構成可能光集積回路(R-PIC: Reconfigurable Photonic Integrated Circuits)と呼ぶ.筆者らは,図1のような基本構成を提案している(1).干渉器,フィルタやミラーなどで構成される受動素子群と利得領域を含む能動素子群の間を,スイッチによるルーチングを行う構成である.

図1 光FPGAの基本構成


続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。


続きを読む(PDF)   バックナンバーを購入する    入会登録

  

電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。

電子情報通信学会誌 会誌アプリのお知らせ

電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード

  Google Play で手に入れよう

本サイトでは会誌記事の一部を試し読み用として提供しています。