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シリコンフォトニクスを用いた光通信素子の研究開発最新動向
14.
GaAs系InAs量子ドット組成混合を用いた集積レーザの要素技術開発とシリコン光デバイス
Integrated Lasers Using GaAs-based InAs Quantum Dots Composition Intermixing and Silicon Photonic Devices
データセンター用低消費電力高機能光源として,電界吸収形変調器をモノリシックに集積したGaAs系量子ドット(QD)波長可変レーザ実現のための要素技術を開発した.そのために基板上の任意の位置に異なる禁制帯幅エネルギーを有する領域組成変調QD組成混合(QDI)技術を開発し,低損失導波路や反射器用回折格子,広帯域電界吸収形変調器のQDレーザへの集積化の可能性を検討した.更に,シリコン光デバイス応用として,偏光無依存高速光スイッチやシリコン導波路/半導体レーザとのハイブリッド集積を実現した.
キーワード:量子ドット組成混合,量子ドット集積レーザ,電界吸収形変調器,シリコン光スイッチ,ハイブリッド集積
超高速光ファイバ通信や5G高速無線通信はインターネット上の映像などの新しいサービスと相乗的に発展し,情報通信量の著しい拡大をもたらしている.その結果,Tbit/s級ディジタルコヒーレント伝送やマルチコアファイバによるPbit/s級空間多重伝送技術が開発され,基幹系ネットワークシステムのみならずデータセンター内ネットワークの通信の大容量化への技術革新を後押ししており,その中で,シリコンフォトニクスがデバイス・システムの低コスト化,高性能化に不可欠な要素となっている.本研究では,データセンター用光ネットワーク用光源として,低しきい値,高温動作,低雑音,耐反射光特性などに優れた量子ドット(QD: Quantum Dot)レーザ(1)を取り上げ,図1に示すようなシリコンフォトニクスに適用する上でのモノリシック機能集積レーザ実現のための要素技術の確立に取り組んだものである.
従来は,半導体光増幅器(SOA: Semiconductor Optical Amplifier)をシリコン導波路プラットホームに貼り付け,SOAは発光機能のみで,反射,変調,出力などの機能はシリコン導波路に作り付けたハイブリッド構造が開発されてきたが(2),(3),これら機能もSOAにモノリシックに集積できればシリコン導波路との集積化も貼り付けプロセスへの負担を軽減できるとともに,素子の小形化や一層の多機能化が期待できると考えられる.複数の光機能をモノリシックに導入するためには,結晶再成長が取られてきたが(4),コストや歩留りの点で課題がある.そこで本研究では,半導体への複数機能の導入のために半導体組成混合技術(5)を取り上げ,GaAs系1,250nm帯QD-SOAに対して量子ドット組成混合(QDI: Quantum Dot Intermixing)技術を開発し,図1に目標素子として示すように,集積レーザや波長可変,電界吸収形(EA: Electro-Absorption)変調器応用について検討を行った.また,本プロジェクトで取り組んだデータセンター用シリコン光デバイスの結果にも触れる.
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