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現代の通信技術の学び方

How to Learn Modern Communication Technologies

林 和則

林 和則 正員 京都大学国際高等教育院附属データ科学イノベーション教育研究センター

Kazunori HAYASHI, Member (Institute for Liberal Arts and Sciences, Kyoto University, Kyoto-shi, 606-8315 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.105 No.2 pp.159-162 2022年2月

©電子情報通信学会2022

1.通信システムと信号処理技術

 現代の無線通信システムは,高度な信号処理技術がその様々な構成要素に埋め込まれることで成り立っている.ディジタルコヒーレント方式が採用された最近の光通信システムも同様である.通信システムで利用される信号処理の目的は,通信路等化や通信路応答推定,ビームフォーミング,ダイバーシチ合成,マルチユーザ検出,MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)信号検出,無線資源割当,I/Q(In-phase/Quadrature-phase)不完全補償,波長分散補償,偏波モード分散補償,非線形ひずみ補償,誤り訂正符号の復号など多岐にわたっており,更にそれぞれについて様々な信号処理手法が提案されている.このため,この分野の初学者が最新の通信システムの全容を理解しようとしたときに,どこから手をつけてよいかすら分からないような状況にある.また,レイヤごとに切り分けて考えることが染み付いている通信技術者の特性のためか,ほとんどの通信の教科書では要素技術ごとに解説がなされていることも,通信システムで利用される様々な信号処理手法に対して統一的な理解を得ることを困難にしていると考えられる.

 一方,現代の通信システムは上述のとおり信号処理技術に大きく依存しているため,基本的な信号処理手法について理解することが通信システム全体の理解への近道となると考えられる.幸いなことに,通信のための信号処理で考える信号モデルは,ほとんどが線形観測モデルと呼ばれるシンプルなものとなっている.このため,線形観測モデルに対する基本的な数理的手法を一通り押さえておくと,通信システム内の目的ごとの信号処理は全てスペシャルケースとして理解することができ,効率的かつ統一的な理解の獲得につながると期待される.

 本稿では,通信分野の初学者を対象に,ごく個人的な経験と独断に基づいて,現代の通信システムを効率的に理解することを目的とした信号処理の学び方のポイントについて述べてみたい.

2.通信のための信号処理の学び方のポイント

2.1 ウィルティンガー微分


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