小特集 1. CMOS技術をベースとした生体埋込エレクトロニクスデバイス

電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
Vol.105 No.3 (2022/3) 目次へ

前の記事へ次の記事へ


バイオセンシングデバイスの技術動向

小特集 1.

CMOS技術をベースとした生体埋込エレクトロニクスデバイス

Implantable Electronic Devices Based on CMOS Technologies

太田 淳

太田 淳 正員 奈良先端科学技術大学院大学

Jun OHTA, Member (Nara Institute of Science and Technology, Ikoma-shi, 630-0101 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.105 No.3 pp.186-191 2022年3月

©電子情報通信学会2022

Abstract

 最近のCMOS技術をベースとした生体埋込エレクトロニクスデバイスの代表例として網膜刺激方式人工視覚を取り上げ,その課題と対応について述べる.まず人工視覚とその一方式である網膜刺激方式について概説する.次に課題である電力供給,チップ保護膜,多極化における課題とその対応について解説を行う.最後に今後の展開について述べる.

キーワード:生体埋込エレクトロニクスデバイス,人工視覚,電気刺激,生体適合性膜

1.は じ め に

 従来CMOS技術を生体内埋込エレクトロニクスデバイスに用いる場合,電解質である生体環境からCMOSチップを保護するため,また生体へ悪影響を及ぼさないために,CMOSチップを金属やセラミックス製のハーメチックケース内に格納し,完全に生体環境から分離することがほとんどである.このハーメチックケースから電気刺激用のリードが伸びて刺激部位まで到達する.図1(a)に示すように,心臓ペースメーカや脳深部刺激装置などが該当する.

図1 生体内埋込エレクトロニクスデバイスの形態

 しかし,近年,医療デバイスの高度化,高機能化,小形軽量化の要請から,図1(b)に示すようにCMOSチップを格納するハーメチックケースを複数個埋植することや,更に図1(c)のように電極を集積化したCMOSチップをハーメチックケースに格納せず直接生体内に埋植する必要性が生じてきた.本稿ではこのような最近のCMOS技術をベースとした生体埋込エレクトロニクスデバイスの代表例として人工視覚を取り上げ,課題とその対応について述べ,今後の展開について解説を行う.以下まず人工視覚について概観する.

2.人工視覚概観


続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。


続きを読む(PDF)   バックナンバーを購入する    入会登録

  

電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。

電子情報通信学会誌 会誌アプリのお知らせ

電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード

  Google Play で手に入れよう

本サイトでは会誌記事の一部を試し読み用として提供しています。