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バイオセンシングデバイスの技術動向
小特集 3.
呼気・皮膚ガスのバイオ蛍光センシングとイメージング
Biofluorometric Sensing and Imaging of Human-derived Volatile Chemicals
Abstract
簡便かつ非侵襲的に採取できる呼気や皮膚ガス中には,代謝や疾患の状態を特異的に反映する揮発性有機化合物(VOCs)が含まれている.筆者らは基質特異性に優れる酵素反応に基づき,呼気・皮膚ガス中VOCsの連続計測及びイメージングを実現する気相用バイオセンサの開発を進めてきた.本稿ではまず,気相用バイオセンサへの導入として生体ガスの計測意義について述べ,次に生体ガス用バイオセンサ“バイオスニファ”及びイメージングシステム“探嗅カメラ”に共通の計測原理“バイオ蛍光法”について生体計測の実例とともに概説する.
キーワード:生体計測,気相用バイオセンサ,脱水素酵素,光計測
血液検査を代替若しくは補助する方法として,「唾液や涙液,尿などの液相サンプル」や「呼気や皮膚ガス,腸内ガスなどの気相サンプル」による代謝評価や疾患スクリーニングの実現が期待されている.これらのサンプル中には血中由来の化学成分が含まれ,非侵襲的に採取できることから日常的なモニタリングや頻回検査が実現すると考えられる.特に,呼気及び皮膚ガスは非接触的に大量のサンプルを,対象者の心理的負担感を生じさせずに採取することが可能である.図1は例として,経口摂取したアルコール飲料が呼気や皮膚ガスとして放出される過程を示したものである.経口摂取したエタノール(EtOH)は胃で20%,小腸で80%が吸収され血流を介して肝臓に到達し,主としてアルコール脱水素酵素(ADH)及びアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によりアセトアルデヒド(AcH)を経由して酢酸へと代謝される.その際,一部のEtOHは呼気や皮膚ガスとして体外へと放出され,これを測定することで血中EtOH濃度の推定が可能となる.同様に血中由来の多様な揮発性有機化合物(VOCs)が生体ガス中に放出されている.
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