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バイオセンシングデバイスの技術動向
小特集 5.
バイオと電子デバイスをつなぐ界面と新たなバイオセンシングへの展望
Bioelectrical Interface and Perspective for Novel Biosensing
Abstract
本稿では,溶液をゲートとする電界効果トランジスタ(FET)を用いたバイオセンシング技術について,特に,サンプルとなる生体成分(イオン,分子,細胞)とFETとの界面に着目し,生体機能を電気的に計測するための原理について紹介する.更に,溶液ゲートFETに用いる材料についても新たな可能性について紹介したい.また,応用先の詳細について十分な言及はかなわないが,これまでの本稿に関わる文献を参考にして頂き,今後,実用化の夢がかなえば改めて紹介したい.
キーワード:溶液ゲート電界効果トランジスタ(FET),バイオインタフェース,バイオセンサ,電荷
近年,溶液をゲートとする電界効果トランジスタ(FET: Field-Effect Transistor)のバイオセンサ応用が盛んに行われている.半導体チャネル材料には,従来のシリコン(Si)を基板とするものから(1),酸化物半導体(InGaZnO, ITOなど)(2),(3),二次元材料(グラフェン,MoS2など)(4),ナノチューブ・ナノワイヤ(5),有機半導体(6)など多岐にわたる.それぞれ用途に合わせて,透明性・柔軟性・生体適合性などを生かし応用先を見据えている.その構成は,Siを基板とする溶液ゲートFETを例に挙げると,図1に示すように,ドレーン・ソース間のチャネル直上にゲート絶縁膜として酸化膜(Ta2O5,Al2O3,SiO2など)や窒化膜(Si3N4など)を用いて,その表面に水溶液が接触する.同時に,水溶液中に参照電極を設置し,溶液/ゲート絶縁膜界面における電位の変化を測定する.つまり,ゲート絶縁膜表面の電荷の変化を計測するポテンシオメトリック法となる.特に,水溶液と接する酸化膜表面には水酸基が形成されるため,水溶液中の正電荷を有する水素イオンと平衡反応を示す.このことから,水溶液のpHに依存して酸化膜表面の電荷が変化し溶液ゲートFETにより計測可能となる(pHセンサ).一方,生体の機能に関わるDNAやたん白質は電荷を有しイオン性のものが多く,様々な金属イオン(ナトリウムイオンなど)は細胞の膜を介してその恒常性を維持し,生体機能に関わりが深い.つまり,生体機能はこれらの電気的特徴が相互作用することにより成り立っているといっても過言ではない.このように溶液ゲートFETのようなポテンシオメトリック法に基づくバイオセンサは,蛍光分子のようなラベルを付加することなく生体機能に関わる電荷を直接計測する手法として有用であると言える.
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