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解説
5Gを活用した手術支援戦略に対する取組みの実際
Practical Usecase of Remote Surgical Support Solution Utilizing 5G for Mobile Smart Cyber Operating Theater
A bstract
東京女子医科大学のスマート治療室(SCOT)を可搬化し,「病院がくる」という概念を実現すべくNTTドコモの商用5G,及びクラウドダイレクトを活用し,遠隔手術支援を模擬したモバイルスマート治療室の実証実験を実施した.担当した医師からは情報の遅れや会話のやり取りに違和感は全く感じられず,互いがその場にいるように感じたと5Gの低遅延,広帯域性を実証できる所感を得たが,今後の普及拡大を目指すためには,通信の更なる安定化と5Gエリア化の加速が解決必須の課題と考えられる.
キーワード:スマート治療室(SCOT),モバイルスマート治療室,5G,遠隔診断支援
2021年現在の外科手術はディジタル化が急速に導入されて進歩している部分と,依然アナログである部分とが混在しており,ディジタル技術をフル活用することで成し得る情報誘導下手術は患者のみならず,執刀する術者にとってもより品質の高い手術の遂行を支援している.ディジタル技術によりこれまで見えなかったものが見えてくる,できなかった手技ができてくる.ロボットサージェリーや手術ナビゲーションなどはその最たる例であり,症例によってはこれらのディジタルシステムなしでは成し得ない外科手術も増えている.ロボット手術ではdaVinciに代表されるようにディジタル信号を介してロボットが手術を実行するようになり,手術手技のAI解析も始まっている.しかし,厳密にシステムをひも解くと,入力のみがディジタル(画像診断)であったり,出力だけがディジタル(手術ロボット)であったりと完全ディジタルとまでは行かず,一部アナログが混在したシステムが大多数である.そして,混在するアナログ情報が障壁となり,エンドユーザが求める最大限の効率化は望めず,機械がつながることよって実現するIoT(Internet of Things,もののインターネット化)から遠い分野であった.
我々が目指す精密誘導治療,つまり「医療のDigital Transformation(DX)」では,入院から退院までの病院滞在中に得られるありとあらゆる情報や検査データを客観的に可視化されたディジタル情報に変換し,活用・フィードバックを行うものである.結果,再現性の高い超低侵襲な診断即治療が可能となる.この究極のディジタル化による精密誘導外科手術を実行する場がスマート治療室(SCOT: Smart Cyber Operating Theater)である.本稿では,スマート治療室,中でもロボット機器での治療を目指す高機能版(Hyper SCOT),そして遠隔治療に適した可搬形のモバイルスマート治療室について紹介する.
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