解説 シリコンバレー

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Vol.105 No.4 (2022/4) 目次へ

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海外のハイテク集積地からのレポートシリーズ

 解説 

シリコンバレー

Silicon Valley

酒井 潤

酒井 潤 Splunk, Inc R&D

Jun SAKAI, Nonmember (Splunk, Inc R&D, California, 94107 U.S.A.).

電子情報通信学会誌 Vol.105 No.4 pp.333-340 2022年4月

©電子情報通信学会2022

A bstract

 深セン,シリコンバレー,イスラエル等,近年ハイテク産業が集積する都市や地域が目覚ましく発展している.またシリコンバレーにおける自動運転の研究所など日本企業からの参加も見られる.これらの都市や地域では,何が原動力で発展したのか,中核技術,これらの地域で活動する利点,今後の発展の動向などを俯瞰する.更に我が国との関係,企業としての進出のメリットやデメリット,その方法,また個人としてこれらの企業で働く場合のアプローチなどについて解説する.

キーワード:海外転職,アメリカ,シリコンバレー,キャリア,エンジニア

1.は じ め に

 筆者は1998年に同志社大学神学部にサッカーのスポーツ推薦で入学し,在学中は大学サッカー日本代表に選出,2001年の東アジア競技大会で金メダルを取得,プロのオファーを受けるが,膝の靭帯断裂によるけがのため断念.2002年北陸先端科学技術大学院大学情報科学専攻修士を卒業し,2004年NTTドコモ入社.その後,2006年米国スタートアップの会社に転職するも2008年のリーマンショックで倒産.2009年米国NTTi3に勤務した後に,2012年米国本社Splunk, Incで株式上場を経験し,ソフトウェアエンジニアとして現在に至る.また,筆者は日本生まれ,日本育ち,日本の教育を受けた日本人であり,海外勤務するまでに海外生活の経験はなかった.筆者が,日本で初めて就職したNTTドコモで,受けさせられたTOEICの点数は330点台で同期の中で下から数えて2番目と上司にきつく注意されたほどだが,今ではアメリカに移住し,ナスダック上場企業のSplunk, Incで正社員としてアメリカ人や世界中から集まるITエンジニアと一緒に仕事をしている.海外転職は,一部の優秀な人か,親の関係で海外で過ごした経験がある人ができる夢物語のようなものと思われがちだが,どんなに英語が優れている人でも海外転職は難しい.やはり海外転職にもやり方があり,うまい抜け道を見つけ出す方がはるかに転職活動は有利になる.本稿では,そのような筆者が米国の企業に就職するまでの経緯や米国シリコンバレーで仕事をするにあたってのキャリア形成・状況についても御紹介したい.

2.シリコンバレーで働くことの魅力

2.1 シリコンバレーの概要と企業群

 シリコンバレー(Silicon Valley)は,アメリカ合衆国カリフォルニア州北部のサンフランシスコ・ベイエリアの南部に位置しているサンタクララバレー及びその周辺地域の名称である.特定の一箇所を公的に指す地名ではなく,ある程度広い地域一帯の通称として使用される.具体的には,北はサンマテオ周辺からサンノゼまでの複数の市を指す.シリコンバレーの中心は,サンノゼ,マウンテンビュー,サニーベール,サンタクララ,クパティーノなど様々な都市である(図1).

図1 シリコンバレー(Silicon Valley)  (地図はGoogle Mapを加工)

 ここでは各都市の簡単な紹介と,その地区に存在する企業を紹介していく.


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