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マイクロ波・ミリ波を用いた生体計測の最新動向
小特集 4.
誘電分光を用いた間質液中グルコースセンシング
――同軸プローブ法によるin vivo検証――
In vivo Study on Noninvasive Glucose Sensing in Interstitial Fluid by Dielectric Spectroscopy
Abstract
マイクロ波を活用した生体計測技術の一つとして,測定対象の誘電スペクトルに基づいた非侵襲生体成分センシングが挙げられる.本稿では,電磁波を用いた非侵襲グルコースセンシング技術に着目し,基本原理とセンサデバイスに関する研究開発動向について説明する.また,具体例として同軸プローブ法を用いた生体計測技術に関して,生体測定時のプローブ開口依存性や糖負荷試験時のグルコーストレンド追従性などのin vivo検証結果について紹介する.
キーワード:同軸プローブ,誘電分光,複素誘電率測定,非侵襲,グルコース
近年,健康寿命の長寿命化に向けた個別化医療の実現に向け,心拍や活動量,血圧といった様々なバイタル情報の収集用途のセンサの技術開発が行われている(1).バイタル情報の中でも血糖値の時系列データは食事,運動により24時間の中でも大きな変動があり,データの可視化とフィードバックによる糖尿病患者の血糖値コントロール,糖尿病の予兆の早期発見,運動や食生活の管理などへの応用が期待されている.近年では,上腕に取付けておくことで2週間分の間質液中のグルコース値の時系列データを測定するフラッシュグルコースモニタリングシステム(FGM: Flash Glucose Monitoring)が国内でも医療機器承認され,時系列データの活用の広がりが期待される(2).間質液とは毛細血管より染み出た血液成分を含む細胞間質液のことであり,間質液中グルコース値は血糖値から約10~15分の遅れをもって変動しており,FGMの測定値を分析することで採血なしに血糖値のトレンドを間接的に把握することができる.しかし,FGMは表皮から数mm程度の深さの間質液を採取するために柔軟性のある針が体内に留置される点,取付け時に出血を伴う場合がある点から,生体内グルコース測定の非侵襲化に向けた研究開発は現在も盛んに行われている(3).マイクロ波―ミリ波帯の誘電緩和を利用したグルコースセンシング技術はその一つであり,アンテナや共振器,同軸プローブ等を用いた研究が報告されている(4)~(8).本稿では,マイクロ波,ミリ波を用いた非侵襲グルコースセンシング技術について,測定原理とセンサデバイスの研究開発動向について説明したのち,同軸プローブ法を用いたグルコースセンシング技術を具体例として取り上げ,生体測定時のプローブ開口に対する依存性や糖負荷試験中におけるグルコーストレンド追従性などのin vivo検証結果について紹介する.
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