特集 6-3 パンデミック対応のためにリマスターされたシステムインテグレーションと競技大会開催時の観察

電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
Vol.105 No.8 (2022/8) 目次へ

前の記事へ次の記事へ


6.大会運営・オペレーションセンタ

特集 6-3

パンデミック対応のためにリマスターされたシステムインテグレーションと競技大会開催時の観察

System Integration and Games-time Observation Remastered for Pandemic Response

Michèle HYRON
翻訳監修 Leo MATSUURA

Michèle HYRON, Nonmember, Major Events, Atos.

電子情報通信学会誌 Vol.105 No.8別冊 pp.1073-1079 2022年8月

©電子情報通信学会2022

abstract

 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のシステムインテグレーションと運用を内部からの視点で説明する.本大会は1年の延期とパンデミックの制限下という異例ずくめでの開催となった.こうした状況の中,Atos,IOC,東京2020組織委員会(組織委員会),テクノロジーパートナー各社のチームは一丸となって革新的な方法で取組みを進めた.その迅速な対応は,ディジタルの卓越性を基盤として,人,プロセス,システムへの影響を軽減した.本稿では,パンデミックがインテグレーション,運用準備,及び運用に与えた直接的な影響について説明する.東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催までの唯一の顕著な影響は,観察とITサービス管理の重要性の高まりであった.

キーワード:Atos,インテグレーション,テスト,運用,観察

1.序     論

 Atosは,オリンピック・パラリンピック競技大会のワールドワイドITパートナーとして,2002年以降,基幹システムのシステムインテグレーションを手掛けてきた.クラウド,専用データセンター,会場のサーバといった提供形態を問わず,インフラストラクチャからアプリケーションまで全てに対応する.

 当社はインテグレータとして,システム全体が機能要件を満たしていること,つまり,全ての機能がユーザの観点から期待どおりに機能することを保証する.また,パフォーマンス,安定性,可用性,そしてもちろんセキュリティなど,より技術的で非機能的な要件も確実に満たすようにする.更に,インテグレータは,組織委員会の準備と運用をサポートし,プロセスとツールを提供する.

 本稿では,東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下,東京2020大会)のシステムインテグレーションと運用を内部からの視点で論述する.本大会は,1年の延期とパンデミックの制限下という異例ずくめでの開催となった.

2.システムインテグレーションへの,緊急事態宣言と延期の影響

 インテグレーションチームは従来どおり,一元化されたリモートチームとスペインにあるAtosインテグレーションテストラボ(ITL: Integration Test Lab)のサポートの下,開催都市である東京で強固なプレゼンスを確立することから始めた.

 東京でのチームは,東京2020テクノロジー部門及びテクノロジーパートナーと建物を共有した(図1の青色).タイムゾーンの調整が不要な対面での作業は,システムインテグレーションの様々な側面に対処しながらコミュニケーションを促進するための鍵となった.

図1 インテグレーションチーム構造  青色:オンサイトチーム.灰色:一元化された/リモートチーム.


続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。


続きを読む(PDF)   バックナンバーを購入する    入会登録

  

電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。

電子情報通信学会誌 会誌アプリのお知らせ

電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード

  Google Play で手に入れよう

本サイトでは会誌記事の一部を試し読み用として提供しています。