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6.大会運営・オペレーションセンタ
東京2020大会を支えたIT機器配備センター
Overview of Equipment Deployment Centre of the Tokyo 2020 Games
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では,その運営に約30,000台のIT機器が使用された.効率化や変更に応じた迅速な対応を実現するために,これらIT機器の準備・設定・会場など各拠点への配備は独自に設けられた機器配備センター(EDC)が一括して対応した.EDCでは専用の設備により日産最大600台のPC設定・出荷能力を保有していた.このEDCを運用することにより東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では会場構築の最盛期である2021年5月,6月に遅延することなく,会場からの要求どおりの日程でIT機器の出荷・配備を実現することができた.
キーワード:東京2020大会,機器設定,イメージ展開
東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下,東京2020大会)では約1か月半の期間を通じて,約3万台(PC:約1万1,000台:東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会発足から2021年末の全期間を通じての期間では1万7,000台,プリンタ・複合機:約3,000台,ネットワーク機器:約1万6,000台)のIT機器が稼動した.これまでもオリンピック・パラリンピック競技大会でこのような大量の機器の準備・設定変更の柔軟な対応や故障が発生した機器の迅速な交換などを実現するために独自の機器配備センター(EDC: Equipment Deployment Centre)が存在した.東京2020大会でも過去大会と同様のEDCを構築・運用したのでその概要を記す.
EDCは大会開催・競技運営のために必要なIT機器の準備,一時保管及びテストと大会後の機器処分作業のために使用される施設である.
競技会場や施設などへの機器の輸送を担当するロジスティクスチームと機器の準備を担当するテクノロジーチームの間で物品の効率の良い受け渡しを可能とするため,まず立地条件としてEDCはメインディストリビューションセンター(MDC,すなわち大会倉庫)の近傍またはMDC内に設置されるのが最良である.東京2020大会も上記の観点からEDCはMDC内に設置した.
次に大会で使用するPCは業務目的によって,機器構成・設定仕様が幾つかパターンとなるように定められていた.EDCは,各会場・施設からの要求に応じて納期に間に合うようにこのパターン化されたPCの設定・準備を効率良く大量に行わなければならない.よってEDCにはPCの設定をネットワーク経由で複写展開できる高速かつ大容量のローカルエリアネットワーク(LAN)を備える必要があった.過去大会の出荷実績値と機器配置計画(TEAP: Technology Equipment Allocation Plan)などを参考にして,東京2020大会ではEDCの一日当りのPC最大生産能力を600台としてLANを含むPC展開システムの設計を行った.
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