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5G/Beyond 5Gを実現する技術
――フロントエンドデバイスから仮想化まで――
編集チームリーダー 服部恭太
2020年6月に総務省が打ち出したBeyond 5G推進戦略の下,Beyond 5G実現に向けた研究開発が加速している.2022年3月には,今後の取組みをまとめたBeyond 5G推進戦略 プログレスレポート2021が公表された.大きなマイルストンとしては,2025年に開催が予定されている大阪・関西万博であり,「Beyond 5G readyショーケース」としてその成果を世界に向けて発信していく計画である.
Beyond 5Gの実現により,場所や時間の制約を完全に撤廃できる世界になることが期待されている.例えば,環境エネルギーで動くセンサをはじめ超多数のIoTデバイスの収容から産業向けロボットに対する遠隔制御や工場自動化といった運用の高度化まで,あらゆる場所からのユーザ要求や環境の変化にリアルタイムに適応しつつ,超低消費電力化と低コスト化の両立が期待される.
このようなユースケースに対応するために5G/Beyond 5Gでは,RAN(Radio Access Network)からコアネットワークまでを仮想化・クラウド化し,多種多様なアプリケーションの要求に応じてリソースや性能を変化できる柔軟性と運用性の向上及び,膨大なデータを処理するためのスケーラビリティを備えることが要求される.このため,ソフトウェアとハードウェアの各特性を踏まえた最適なネットワーク機能の配備が重要となる.そこで本小特集では,5G/Beyond 5Gの実現に向けて,基地局,フロントホール・バックホール,コアネットワークにおけるデバイス,ハードウェア,及び仮想化技術を活用した最新の開発動向や今後の展開について紹介する.
まず第1章では,基地局を支える無線回路等のデバイス・モジュールから構成するフロントエンドを実現する技術動向を紹介する.岡田健一氏らからフェイズドアレーによる無線通信の理論から実際の設計に基づく回線設計を含めたIC/モジュール実装技術について紹介頂く.次に,川内 清氏からBeyond 5G向け測定技術の最新動向,戸部英彦氏から最新デバイスを採用した5Gのフロントエンドを中心とした実験キットの事例について紹介頂く.
次に第2章では,基地局からコアネットワークをつなぐ,フロントホール・バックホールを実現する技術の動向を紹介する.田中和樹氏らから,フロントホールをターゲットとしたアナログRoF(Radio over Fiber)技術を用いた研究開発事例,平部正司氏から,フロントホール,バックホールの超大容量化に向けたOAM(Orbital Angular Momentum)モード多重無線伝送実験システムについて紹介頂く.
第3章では,基地局からコアネットワークまで幅広く仮想化技術の適用及び,インテリジェント化の動向について紹介頂く.矢吹 歩氏らからGPUを用いた無線基地局の仮想化技術に対する取組みについて,大谷未稚氏らから5Gにおけるオープン化とインテリジェント化の取組みについて紹介頂く.更に,中里 仁氏らからBeyond 5Gに向けた仮想化ネットワークの優位性と実装状況・オープン化の動向について,馬場宏基氏らからはエンドツーエンドでのネットワークスライス要件を満たすためのネットワーク管理・制御技術及び,実用化に向けた実証状況について紹介頂く.
最後に,多忙な中,執筆に御尽力頂いた執筆者の皆様に感謝致します.また,小特集編集チームの皆様には執筆候補者の提案・調整など御協力を頂きました.この場をお借りし,深く感謝致します.
小特集編集チーム
服部 恭太 大辻 太一 西村 寿彦 安達 宏一 伊藤 史人 梅田 周作 大石 巧 大鐘 武雄 影井 敬義 後藤 広樹 今野 佳祐 澤田 政宏 田中 和樹 Chakarothai JERDVISANOP 筒井 正文 豊見本和馬 水谷 后宏 村上 友規 吉井 一駿
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