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5G/Beyond 5Gを実現する技術――フロントエンドデバイスから仮想化まで――
【フロントエンド】
小特集 2.
Beyond 5G向け測定技術の最新動向
Latest Trends in Measuring Technology for Beyond 5G
Abstract
2020年に移動通信システム5Gが商用化された.「高速・大容量」,「低遅延」,「多接続」を実現するネットワークである.これには移動通信用として初めてミリ波周波数帯域が利用された.一方,更に「超高速・大容量」,「超低遅延」,「超多数接続」を目指す次世代移動通信Beyond 5Gの研究開発が2030年実用化に向けて開始している.ここでは5Gより更に10倍高周波となる100GHz超のミリ波周波数帯の利用が検討されている.この周波数領域でのシステム設計や材料やデバイスの研究開発では新たな測定課題が顕在化しており,本稿ではその課題と解決に向けた最新の取組みを紹介する.
キーワード:広帯域ネットワーク解析,300GHzスプリアス解析,ミリ波同軸コネクタ
2030年に実現を目指すBeyond 5G(若しくは6G)では,運用が開始された5Gより伝送速度と同時接続端末数を10倍,遅延時間1/10を目標としている.このために必要な周波数帯域幅を確保することを目的として,100GHz以上300GHz程度までの周波数領域を利用することが検討されている.
ミリ波周波数帯で無線通信システムを構築するためには,そのシステムを構築する材料やデバイス,伝送線路などの周波数応答をネットワーク解析(VNA: Vector Network Analysis)で評価しながら,トライアンドエラーを繰り返して研究開発することになる.しかもそこには,既存の周波数帯の通信システムも混在されるため,数MHzから数百GHzの広帯域(Broadband)で検討される.もちろんその結果にはトレーサビリティや正確性が求められ,再現性及び迅速性は期限を争う研究開発では今まで以上に重要となる.
一方,無線周波数を利用するシステムでは,その利用周波数帯以外への不要放射(スプリアス)は隣接する通信システムへの干渉や,電波天文観測への影響を及ぼすため,適切な規程値以下に抑えることが必要とされる.しかし,100GHzを超えたミリ波周波数帯で広大な周波数領域を確保しようとする通信システムの場合,その不要放射(スプリアス)を既存の測定技術によって高感度で高精度に測定するには複数の問題がある.
本稿では,これらの課題を解決するための取組みと,開発された技術を紹介する.
数百MHzから数百GHzの非常に広帯域な周波数領域に対応する材料やデバイスを通信システムで使用するには,必要な周波数領域での応答をネットワーク解析によって知る必要がある.測定システムの中心となるベクトルネットワークアナライザ(VNA)は送信部と受信部を備え,送信した測定用信号が評価対象によってどのように反射または伝送(あるいは吸収)されたかを精密に評価する(図1).
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