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5G/Beyond 5Gを実現する技術――フロントエンドデバイスから仮想化まで――
【フロントホール・バックホール】
小特集 4.
Radio over Fiber技術を用いた5G/Beyond 5Gモバイルフロントホール
5G and Beyond 5G Mobile Fronthaul Using Radio over Fiber Technology
Abstract
第5世代移動通信システム(5G)やその次世代システムとなるBeyond 5Gでは,高速大容量通信のためにミリ波帯やテラヘルツ波帯のような高い周波数帯を利用することが想定されており,従来に比べて無線通信範囲の小さな基地局アンテナを高密度に配置する必要がある.このため,これらの基地局アンテナを収容するモバイルフロントホールには,大容量伝送に加えて多数の基地局アンテナを高効率に収容することが求められている.本稿では光ファイバ無線技術に基づくモバイルフロントホールについて解説し,大容量伝送と基地局アンテナの高効率収容に関する研究開発事例を紹介する.
キーワード:5G,Beyond 5G,光ファイバ無線,モバイルフロントホール,光アクセス
国内では2020年に第5世代移動通信システム(5G)が商用導入され,3.7/4.5GHz帯及び28GHz帯のミリ波を用いて,理論上の最大通信速度10~20Gbit/s(1)の高速無線通信サービスが提供されている.ミリ波のような高い周波数では,人や建物等の障害物による遮蔽の影響を受けやすく,また見通し外に回り込みにくいことから,通信可能な範囲が小さくなり,アンテナ周辺に広範な通信エリアを構成しにくい.このような状況下において安定した無線通信品質を提供するためには,従来に比べて多くのアンテナを配置して,複数のアンテナを協調動作させることで,利用者の周囲にエリアを形成するようなことが望まれる.2030年頃の実用化が想定されるBeyond 5Gに向けては,このような考えに基づき,後述するCell-Free Massive Multiple Input Multiple Output(MIMO)(2)と呼ばれる技術の研究開発が進められている.今後ミリ波やテラヘルツ波等を利用した大容量無線通信をより快適に利用する上で,このように複数のアンテナを集中制御し協調動作させる,いわゆるCentralized radio access network(C-RAN)型のアーキテクチャ(3)への対応は必須となってくる.C-RANでは,移動通信システムにおける無線アクセスネットワーク(RAN: Radio Access Network)機能のうち,高レイヤ機能を収容局側に,低レイヤ機能をアンテナサイト側に分割して配置する.収容局からアンテナサイト間の伝送区間であるモバイルフロントホール(MFH: Mobile fronthaul)には,主にCommon Public Radio Interface(CPRI)(4)やenhanced CPRI(eCPRI)(5)等のディジタル伝送インタフェースが利用され,機能分割点により無線通信速度の数倍~10倍程度(6)の伝送速度を有する光回線が必要とされている.一方,Beyond 5G時代の無線通信速度は100Gbit/s超に達することが想定されており,数百Gbit/s~Tbit/s級の光回線をMFH区間が位置する光アクセスネットワークに広く普及させることは容易ではない.このため,高速な無線信号の収容に対応し,かつ多数の基地局アンテナを少ない光ファイバで効率良く収容する伝送技術が新たに必要である.
本稿では,前記の課題を解決する技術として期待される光ファイバ無線(RoF: Radio over Fiber)(用語)技術について,その概要と従来の適用事例を述べるとともに,5G/Beyond 5G向けの大容量・高効率収容MFH技術としてRoFを適用した研究開発事例を紹介する.
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