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5G/Beyond 5Gを実現する技術――フロントエンドデバイスから仮想化まで――
【基地局・コアネットワーク】
小特集 8.
仮想化ネットワークの現状と今後の展望に関して
Vision of Network Virtualization
Abstract
昨今,世界各国にて第5世代セルラネットワーク(5G)のサービスが開始されている.Beyond 5Gの実現に向けて無線アクセスネットワーク(RAN: Radio Access Network)からコアネットワークまでの完全仮想化の流れが加速している.本稿では,仮想化ネットワークの優位性や5Gシステムにおける取組みと実装,オープン化の動向とBeyond 5Gへ向けた展望について説明する.
キーワード:仮想化,5G, vRAN, Open RAN, Beyond 5G
2019年から世界各国で開始された5Gシステムは,無線アクセス技術だけではなく,その他のキー技術から成り立っている(1).キー技術の一つとして仮想化技術がある.これまで,仮想化技術の主な展開先として,従来ではクラウド領域が主であったが,近年では,RAN(Radio Access Network)やコア等のモバイルネットワークを対象とし,サービス展開が始まっている.特に,従来では専用のハードウェアとそれに一体化したソフトウェアの導入をすることが一般的であったのに対して,仮想化技術をモバイルネットワークに展開することにより,専用ハードウェアではなく汎用ハードウェアを用いるため,ハードウェアとソフトウェアを別々に選択することが可能になっている(2).仮想化技術ではハードウェア上の「仮想化レイヤ」においてソフトウェアを稼動させているため,モバイルネットワークの仮想化においても,例えば,同一ハードウェア上で,4Gと5Gのソフトウェアを共存させることが可能となる.また,ソフトウェアの更新については,ハードウェアの更新が不要なため,仮想化技術を用いることで,ダウンタイムを最小限とした移行が可能であるとされている(3).
一方,仮想化技術による恩恵は,技術面だけではなく,仮想化を導入する事業者の観点でのメリットも大きい.例えば,専用ハードウェア時代では,ハードウェアの制限によりソフトウェアの更新や,部品交換だけではなく過剰な設備投資が必要であった.また,運用を考慮した場合に,複数機器が共通なインタフェースを持っておらず,個別開発や個別運用に関わる人件費等のリソースが必要となるため,多くの運用コストが必要であった.しかし,仮想化の導入により,ソフトウェア及びハードウェア共に部品交換が可能となり,また,ソフトウェアの運用については,「仮想化レイヤ」側で共通なインタフェース(API等)を払い出すことが可能となっている.前述により,仮想化技術は,事業者に対して設備投資及び運用コストを大幅に削減可能となる利点をもたらしている.更に,仮想化技術のメリットであるハードウェアインタフェース分離と同様に基地局を構成する機器間のインタフェースのオープン化が注目を集めている.特に,近年成長してきているのがRANのオープン化及びインテリジェント化を掲げる国際的な団体「O-RANアライアンス」である.仮想化とOpen RANを組み合わせることで,よりRANをインテリジェントかつオープン化することができるため,相乗効果が高い技術の組合せであると言える(4).
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