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2. 通信・無線・放送
業務用無線の方式とPS-LTEの導入・チャレンジ
Technology of Personal Mobile Radio, Introduction of PS-LTE and Its Challenges
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では,大会運営スタッフ間の連絡に使用する業務用無線(PMR)サービスの提供方式の一つとして,オリンピック・パラリンピック史上初となるPS-LTEを導入し,スムーズな大会運営の実現に大きな貢献をすることができた.本稿では東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で構築したPS-LTEシステムの構成や構築経緯を概観するとともに,大会期間及び前後のPS-LTEの利用概況について報告する.また,PS-LTEシステムの大会後の活用についても言及する.
キーワード:業務用無線,大会史上初,PS-LTE,大会後の活用
PMR(Personal Mobile Radio)サービスとは大会運営に関わる関係者間の連絡に使用する「大会の円滑な運用をサポートするための通信サービス」である.東京2020組織委員会のベニュー会場運営,競技運営,医療,警備など大会を支援する関係者に対して音声通信サービスを提供する.無線を使用した端末(移動局)が,定められたエリアにおいて対象の端末への即時連絡手段を提供するサービスである.
NECは,東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下,東京2020大会)においてPS-LTE(Public Safety-LTE)(用語),端末間直接通信無線及びIP無線の3方式でPMRサービスを提供した.PMRサービスを提供したエリアは表1に示すとおりである.
これら3方式のほかに,羽田空港及び成田空港に各々の空港無線会社がサービスする空港MCA無線の提供も実施した.
本稿では,これらのPMRサービスのうち大会史上初めて本格導入したPS-LTEを紹介する.
PS-LTEとは,公共での用途が想定されたLTE方式で構築される無線ネットワークのことである.
NECは,PS-LTEをPMRサービスの提供方式として提案し,組織委員会による評価を経て導入が決定した.
2.では東京2020大会におけるPS-LTEのシステムについて解説する.
東京2020大会で構築したPS-LTEシステムは図1に示すように統制局,基地局,移動局及び監視統制センターで構成している.基地局は主にベニュー外をカバーする広域局とベニュー内及びその周辺をカバーするベニュー局の2種類あり,広域局は7局,ベニュー局は22局を設置した.
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