特集 3-1 東京2020大会における情報システム・ディジタルメディアの総括

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Vol.105 No.8 (2022/8) 目次へ

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3.情報システム・ディジタルメディア

特集 3-1

東京2020大会における情報システム・ディジタルメディアの総括

Summary of Information System and Digital Media for the Tokyo 2020 Games

臼井明久

臼井明久 公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 テクノロジーサービス局

USUI Akihisa, Nonmember, Technology Services Bureau, The Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games.

電子情報通信学会誌 Vol.105 No.8別冊 pp.896-902 2022年8月

©電子情報通信学会2022

abstract

 本稿では,東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会において運営された情報システム及びディジタルメディアについて,その全体を振り返る.特に,大規模イベント開催時の情報システム構築時に必要となるマネジメント及びガバナンスの検討事項,アーキテクチャと開発体制の整備を中心に,プロジェクトの成功点・反省点を共有する.

キーワード:情報システム,ITガバナンス,エンタープライズアーキテクチャ,内製化開発,DX推進

1.ま え が き

 2020年初から世界的な蔓延を見せた新型コロナウイルス感染症の影響を受け,1年延伸となった57年ぶりの東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下,東京2020大会)は,無観客での開催となったものの,オペレーション上大きな混乱はなく,成功裏に幕を閉じた.筆者はテクノロジーサービス局の情報システム部に在籍し,情報化構想・企画に始まり,開発・構築・テスト,運用保守・サポートの全てのフェーズに携わる貴重な経験を得た.本稿では,大会の準備及び本番中に提供された様々なテクノロジーサービスの中から,情報システム及びディジタルメディアについて総論として振り返る.

2.情報システムの概要とガバナンス

2.1 大会準備・運営を支援する情報システムの全容

 情報システムを大まかに分類すれば,図1に示すとおり,競技結果や計測結果の配信を行う競技結果配信システム(以下,ODS: Olympic Diffusion Systems),開催国の独自要件が比較的少なく各大会共通の業務オペレーションを支援する大会運営システム(以下,OMS: Olympic Management Systems),全体で52に及ぶ大会運営機能組織,あるいはそれを担う組織委員会の業務部門(以下,FA: Functional Area)の独自要件を満たすために,開催国においてゼロから構築が必要となる業務アプリケーションに分類することができる.

図1 情報システムを中心に描いた全体俯瞰図(©2021-International Olympic Committee-All Rights Reserved)


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