特集 3-3 大会運営を支援する業務システムの設計・開発に際してのエンタープライズ・アーキテクチャの検討

電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
Vol.105 No.8 (2022/8) 目次へ

前の記事へ次の記事へ


3.情報システム・ディジタルメディア

特集 3-3

大会運営を支援する業務システムの設計・開発に際してのエンタープライズ・アーキテクチャの検討

Enterprise Architecture Study for Design and Development of Systems to Support the Game Operations

鷲田真一

鷲田真一 公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会テクノロジーサービス局

WASHIDA Shinichi, Nonmember, Technology Services Bureau, The Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games.

電子情報通信学会誌 Vol.105 No.8別冊 pp.910-914 2022年8月

©電子情報通信学会2022

abstract

 本稿では,大会運営を支援する業務アプリケーションの構築に関するエンタープライズアーキテクチャの取組みについて述べる.限られたリソースの中で,大量のアプリケーションを企画,設計していった手法について明らかにするとともに,まだ業務が成熟していないアプリケーションの開発と運用をどのように進めていくべきかといった知見を述べる.また,ガバナンスルールの重要性と推進する上での重要なポイントについても記載する.

キーワード:情報システム,要件定義,ガバナンスルール

1.は じ め に

 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下,東京2020大会)における新規システム開発は,その開発の規模感や難易度といった情報が正確にはつかみ切れない状況からのスタートであった.

 2016年のリオデジャネイロ大会以降,本格的にシステム企画の検討を開始,過去大会において開発されたアプリケーション一覧を手掛かりに検討を進めた.それによれば,どのようなシステムを幾つ作成したかということはつかめるものの,どのくらいの期間と工数をかけていつ頃作成したのかなどの詳細な情報を得ることはできなかった.

 多くの業務アプリケーションは大会直前にリリースされ,大会期間中を中心に利用されると予想された.2016年時点では当然のことながら,まだ多くの業務自体が存在していない状況であり,システム要件定義はおろか,それより以前の業務要件定義ですらしっかりと特定することができない難しい状況でもあった.一方で,財務会計,電子稟議,調達など,組織委員会業務の根幹を担うシステムは,初期の頃から一日も早い導入が求められた.

 つまり,大会本番に向けて人数が急激に拡大するとともに,組織委員会では多種多様な業務を新たに立ち上げることとなる.したがって,目先の業務要件だけを基に個々のシステムを設計・調達していても大会本番に向けた全体システムの最適化・体系化が実現できず,非効率な開発や手戻りが発生するリスクが高いことが明らかであった.そのため,2016年9月からエンタープライズアーキテクチャを検討するプロジェクトを立ち上げ,主に業務アーキテクチャについて分析を行った.

 まずは以下の4要素について業務の整理を進めた(図1).

業務体系:組織全体の構造や役割などを定義し,その上で業務プロセスや情報をモデル化したもの.


続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。


続きを読む(PDF)   バックナンバーを購入する    入会登録

  

電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。

電子情報通信学会誌 会誌アプリのお知らせ

電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード

  Google Play で手に入れよう

本サイトでは会誌記事の一部を試し読み用として提供しています。